2001年10月11日
丸紅経済研が速報、「対テロ戦争、世界経済への影響」
“修正迫られる世界のビジネス基準”
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:丸紅

 米国テロ事件と、各国の対応を世界経済への影響面から分析し続けている丸紅経済研究所は10日深夜、「対テロ戦争が世界経済に与える影響」(速報1)をA4判6ページにまとめ関係方面に配信した。

 事件発生直後から「米同時テロが世界・日本経済に与える影響」と題してレポートしてきたが、テロ組織への空爆開始により、新たな段階に入ったとして、表題を改め、「対テロ戦争が世界経済に与える影響」という観点から情報収集と分析を行った。

 レポートの内容は、(1)修正を迫られる世界のビジネス基準(2)米国個人消費への影響をどのように考えるか(3)足元の国際金融市場・実態経済—の3項目。

 軍事面だけでなく政治、外交、金融など複雑、多元化する動きの中で、世界経済への影響を読み取ろうとしている。
 
 その中で、今後のビジネスのあり方について「新たな不確実性の出現」をあげ、「市場では過去数十年にわたってリスクヘッジの手法を開発し、管理能力を向上させてきたが、今回の事件は発生の確率や可能性が予測できず、対応が難しい。経営の精度が低下する」と“警告”している。

 もう一つの問題点として、適正在庫水準の上昇をあげ、「企業はこれまで在庫水準の引き下げに努力してきたが、今後は物流の停滞や通関強化、航空便減少などにより、在庫の積み増しが必要となる事態も予想される。長期化すれば、新たな設備投資や在庫調整期間中の金利負担増大など、追加的なコストが企業にとって重荷になる」と分析している。
 
 同レポートはさらに「近年の米国発経営手法にも再評価が必要になる」と前置きして「以上の変化は、これまで持続的成長と外部環境の安定を前提としてきた米国経済の経営手法やビジネスの基準・トレンドが通用しなくなる可能性さえ出てくることを示唆している。世界経済の先行きが不透明である以上、これらの手法に変化が起こる可能性はあり、日本企業としても再評価が必要だろう」と、注意喚起している。