2005年04月01日
容リ協のPETボトルの引き取り量が縮小
2月は04年度の最小規模で前年同月も下回る
【カテゴリー】:環境/安全(行政/団体)
【関連企業・団体】:環境省、経済産業省

 (財)容器包装リサイクル協会が地方自治体から容器包装リサイクル法に基づいて引き取る使用済みPETボトルの数量がここにきて一段と縮小傾向を強めてきた。
 同協会が1日に集計したところによると、2月の引き取り数量は1万1,281トンで、04年度に入ってからの月間引き取り量の最小規模となった。昨年8月の2万1,732をピークに6ヶ月連続しての減少であり、しかも、前年同月の実績をもわずか0.2%ながら下回っている。PETボトルの月間引き取り量が前年同月を下回るのは、極めて異例のこと。こうした異常事態の発生には、地方自治体の中で、一般家庭から分別収集した同ボトルを中国向けの輸出ルートを持つ仲介業者に売り渡すところが増えてきたことが大きく影響していると見られている。このままいくと、国内でのリサイクル量が大幅に縮小するのが必至で、国内におけるリサイクル企業の事業基盤が大きく揺るぎ、容器包装リサイクル法の運用に重大な支障が生じることにもなるだけに、中央行政当局がどう対応していくかが注目される。
 
 わが国では、一般家庭から排出される使用済みPETボトルは、容器包装リサイクル法に沿って地方自治体が分別収集して容器包装リサイクル協会に引き渡すことが取り決められている。同協会がこれまで地方自治体から引き取ってきた使用済みPETボトルの数量は年々拡大の一途をたどってきた。同法の適用初年度である1997年度に1万4,014トンであったのが翌年には3万5,664トンとなり、それ以降も99年度が5万5,675トン、00年度が9万6,652トン、01年度が13万1,027トン、02年度が15万3,860トン、そして03年度が17万3,875トン--と毎年順調に増えてきた。今年度(04年4月〜05年3月)の年間引取り予定量(市町村との契約量)は、前年度を10.0%上回る19万1,314トンとなっている。対する実績は、2月までの累計が17万6,514トンなので、進捗率は91.7%ということになる。今年度は1ヶ月を余すだけなので、目標のクリアはまず困難と言わざるを得ない。
 そうした中で改めて大きくクローズアップされてきたのは、月間の引き取り量、すなわち同協会への市町村からの引渡し量が急速に縮小してきている点だ。同ボトルの場合は、需要に季節性が存在するので、引渡し量も夏場以降は減少するのが通常のパターンとなっている。しかし今年度は縮小の幅が例年以上に大きい。夏場と不需要期の2月の格差は従来だと30%台であったが、今年度は48%どころに広がっている。
 一方のリサイクル体制は、帝人化成やPETリバースがボトルtoボトルの本格工場を相次いで立ち上げたこともあってこれまでを大きく上回る規模に拡大されている。このため、従来のマテリアル・リサイクル工場を含めた大型再生工場は完全な品不足に陥っている。
 しかも、地方自治体の中には分別収集・保管コストを少しでも回収したいと考えて中国向けのルートに積極的に同ボトルを振り向けるところが増えていく見通しにある。このまま何ら国策ベースの手が打たれないままいくと、国内のリサイクル事業者の中には経営の行き詰まりをきたすところが出てこよう。仮にそうした事態となったあとで中国が何らかの理由で輸入を手控えるようなことがあれば、今度は逆に日本国内に使用済みPETボトルが処理されないまま溢れかえることになる。
 容リ法の見直しがスタートしたいま、環境省や経済産業省がこのPETボトルの中国流出問題をどう捉えてどういった打開策を見出していくかに関係者の関心が集まっている。