2005年04月05日
日立化成 極薄・屈曲性の「多層プリント配線板用基材」を開発
現行の4層プリント配線板が半分以下の厚さに
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:日立化成工業

 日立化成工業は5日、厚さが50 ミクロン以下と極薄で、屈曲性のある新規な多層プリント配線板用基材「Cute」を開発したため、本格事業展開に入ると発表した。

 独自開発によるエポキシ樹脂をベースとした低弾性率熱硬化性樹脂を厚さ20 ミクロン以下の極薄ガラスクロスに塗工・含浸させ、銅箔を接着したもので、小型化・薄型化するビデオカメラや、カメラ付き携帯電話などに最適としている。

 新開発した「Cute」は、従来信頼性の面から採用が難しいと言われていた20ミクロン以下の極薄ガラスクロスをコア材とし、独自に開発したエポキシ樹脂を塗工・含浸した。これにより折り曲げ性、耐熱性、接着性、寸法安定性などに優れ、自在に形状を変えられる極薄の多層プリント配線板用基材を実現した。

 主な製品構成として、
(1)ガラスクロスを使用したコア材(TC-C-100)
(2)プリプレグ(TC-P-100)
(3)カバーレイおよび層間接着用途を兼ねた樹脂付き銅箔(TC-F-100)があり、これらを組み合わせることにより、何層にも多層化した配線板を製造することができる。

 これにより、例えば現行の4層プリント配線板なら半分以下の厚さで製造できるほか、フレキシブル配線板に必要だったリジッド板とフレキ板を相互に接続するためのコネクタ等が不要になるため、より小さなスペースにも装着でき、折り曲げ可能なことから携帯型デジタル機器の設計自由度が一層高まる。

プリント配線板の高密度化に関しては、現行のリジットフレキ配線板では技術的に困難であったフレキシブル層へのビア接続も容易に可能となることから、面方向だけでなく厚み方向を含めた3次元での高密度化を図ることが可能になります。また、プリント配線板の製造プロセスに関しては、低弾性率熱硬化性樹脂の採用により切断時にダスト(樹脂の粉)が発生しないため、歩留り向上に寄与するものと期待されます。

 今後、携帯型デジタル機器向けの多層プリント配線板用を中心に市場拡大を図り、3年後の2008年度には年間約40億円の売上高を見込む。なお「Cute」は、本年6月1日から3日間、東京ビックサイトで開催される「JPCA ショー」に出展の予定。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1112677283.pdf