2005年04月19日
問題多い「中国のアンチ・ダンピング措置」経産省指摘
【カテゴリー】:行政/団体(海外)
【関連企業・団体】:経済産業省

経産省は19日発表した「不公正貿易報告書」の中で、多くの化学品にアンチ・ダンピング(AD)措置を発動している中国政府の貿易政策・措置に対して「問題が多い」と述べるとともに、今後の解決に向けた取組みを優先項目の一つに上げた。

 この中で「中国はWTO加盟後、一部の取組に評価できる点はある」としながらも「国内法制の整備・改正の遅れや、それらの透明かつ統一的な運用の不徹底、さらに保護主義的であると考えられる新たな制度や運用など、是正が望まれる点が多数ある」との厳しい指摘を行った。

 とくにAD措置に対しては「WTO加盟後今年3月末までの間に、すでに23件(わが国が対象に含まれる案件はこのうち17件)ものAD調査を開始しており、加盟前に比して急増している」とし、中国の措置の発動にあたっての問題点を次の通り指摘した。

(1)産品の品質・用途等を十分に精査しないまま「被調査産品」または「同種の産品」を認定していること。

(2)ダンピング・マージン算定、損害認定の根拠としたデータを応訴企業に対して十分に示していないこと。

(3)損害の決定に際して、累積による評価を行うことが妥当であることの具体的な証拠を提示せずに、累積による評価を実施していること。

 同省は今後、これらの点についてWTOのAD委員会、二国間協議等の場で、中国当局がWTO協定と整合した制度運用を行うよう強く働きかけていく方針。また中国国家発展改革委員会や商務部との次官級協議、産業別官民対話、WTOの経過的レビューメカニズムなどを活用し、引き続きWTO加盟議定書上の義務を履行するよう求めていくとしている。