2002年05月27日
ポリオレフィンの4月の国内出荷、用途別の前年比に大きなばらつき
フィルム用や射出成形用品種の間に格差が発生
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン業界筋の調べによると、ポリオレフィン3樹脂の4月の国内向け出荷のうちの用途別の対前年同月比にこれまでにない大きなばらつきが発生していることがこのほど明らかになった。同じフィルム用グレードでも、LDPEはマイナス成長、HDPEは横並び、PPは前年超えといったように大きな差異が生じている。射出成形用やパイプ用にも同じような現象が現れている。こうした事態の背景やその意味するところは同樹脂業界すじでも把握しておらず、5月以降のしばらくの動向が注目される。
 
 各樹脂の主要品種の国内向け出荷実績の前年同月比を見ると、LDPEでは主力のフィルム用が3%減と不振を続けている点が特に目を引く。電線用は22%減、パイプ用は26%減とさらに大幅な減少となっている。反面、フィルム用に続いて絶対量の大きいラミネート用は5%増、射出成形用は3%増と健闘している。しかし何といってもフィルム用の不調が全体に及ぼす影響は大きく、国内出荷トータルは2%減となった。
 HDPEでは、これまで好調を維持してきた射出成形用が4%のマイナス成長に転じたことが大きな特徴といえる。これは、コンテナー用が12%もの減少になったことによるもの。成形メーカーの在庫調整がその要因と見られている。中空成形用も5%縮小した。同樹脂全体の国内向け出荷が3%減トンとなったのは、これら2品種が落ち込んだためといえる。ただし、期待のパイプ用は16%もの前年超えになっている。また、メーンのフィルム用は前年の横並びである。
 PPの場合は、主力の射出成形用と2番目に消費量が大きいフィルム用がともにプラス成長に変わったためトータルも6%の拡大となった。射出成形用は9%増と大きな伸びを遂げた。これは、コンテナー用が16%増と大幅増を維持、合わせて日用雑貨用が一段と伸びて12%増となったことによるもの。同じコンテナー用でもHDPEとは対照的な現象を呈しているわけ。注目の工業部品用も5%のプラス成長に転じた。フィルム用も4%増とプラス成長に変わった。OPPは3%増、CPPは5%増となっている。