2005年04月25日
三井化学のBPAの値上げ交渉が決着
4〜6月分、キロ25〜30円引き上げ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はBPA(ビスフェノール-A)の需要家各社との間で4〜6月期分の価格交渉を進めていたが、キログラム当たり25〜30円引き上げることで22日までに需要家の同意を得た。3月15日に同30円の値上げを打ち出し、PC(ポリカーボネート)メーカーやEX(エポキシ)メーカーなど需要家各社と折衝を重ねてきた結果、ほとんどユーザーから満額回答を得ることができたもの。
 
 三井化学のBPAの値上げは過去2年間で今回が6回目となる。これまでの5回の打ち上げ幅は合計で同108円。決着幅は同98円であった。今回の打ち上げ幅は昨年8月の同33円に次ぐ大きさとなった。それにもかかわらず需要家各社が比較的早期に受け入れを表明したのは、原料BZ(ベンゼン)の4〜6月期における価格の高騰が必至で、しかもBPAの需給バランスも特に日本国内が一段と逼迫する見込みとなってきたため。
 BZの価格は、5月にいったん下降するものの6月に入ると急反騰するのが必至の見通しとなっている。リファイナリーの定修が各国で相次ぐ一方で、フェノールやSM(スチレンモノマー)など誘導品の大型新・増設プラントが東アジア地域で集中的に立ち上がるためだ。
 BPAの需給バランスも、日本やシンガポールで日本のBPAメーカーが相次いで定修を実施すること、PCなど誘導品の内外の需要が引き続き拡大していく見通しにあることなどから逼迫度合いが一層強まるのは不可避と見られている。
 
 今回の交渉がほぼ満額回答を得ての決着となったのは、ユーザー各社とも、当面の原料事情とBPAの需給見通しを考慮すると先ずは原料の確保を今回も優先せざるを得ないと判断したためと見られる。なお、三井化学ではもう一方の原料のプロピレンの価格も上昇が必至と判断している。