2005年04月27日
旭化成ケミ、アンモニアと硝酸の価格改定へ
中小口需要家向けを5月9日から値上げ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズは27日、アンモニアと硝酸の中小口需要家向け価格を5月9日出荷分から改定すると発表した。対象は、ナフサ価格にスライドさせて四半期単位で自動的に変動させる方式(ナフサリンク制)を採用している大手需要家を除くユーザー向けの製品。同社の総出荷量のほぼ10%が該当するという。

 上げ幅はアンモニアがキログラム15円、硝酸が同5円。アップ率はアンモニアが20%、硝酸が10%となる。アンモニアの値上げは、最近では昨年4月の同10円の引き上げに続いての今回が2度目。
 
 今回の値上げも、前回同様に出発原料ナフサの価格高騰に伴う採算悪化の回避が狙い。同社では4〜6月期のナフサ価格がキロリットル当たり3万8,500円になると予想している。1〜3月期の価格を5,000円以上上回るとの判断で、この予想通りに推移すると、アンモニア事業も硝酸事業も採算を確保できなくなると説明している。

 アンモニアも硝酸も国内の需給バランスは急速にタイト化しつつある。これは、(1)アンモニアメーカー7社のうち5社が3月から7月末までの間に相次いで定修を実施するため全体の供給力が著しく低下すること(2)しかも定修による運休期間が全体に例年以上に長いこと(3)旭化成ケミカルズなどメーカー2社のここにきての生産量がプラントトラブルによって1万5,000トン縮小したこと、といった要因によるもの。
 
 現在のアンモニアの在庫は、適正規模とされる8万トンをすでに割り込んで7万5,000トン前後に縮小している模様。旭化成ケニカルズでは、それが6月末には5万4,000トンていどに落ち込み、さらに7月末には4万5,000トン程度まで縮小すると予想している。
 
 03年第3・四半期には製造プラントの操業トラブル続きのため在庫が5万トンに減ったため市場はパニック状態に陥った。今回も同様の混乱が発生しかねないバランスにあると言えそう。このためアンモニアを原料とする硝酸に場合も極度のタイトバランスとなるのが必至と見られている。同社ではこうした中で引き続き安定供給を維持していくには、ユーザー各社に価格改定の了承を要請していくほかないとしている。