2005年05月25日
ベンゼンのアジア・スポット相場が急下降
中国のSM需要の縮小が影響か
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 大手商社筋によると、ベンゼン(BZ)のアジア・スポット価格が先週明けから急落、最大供給国である韓国の直近のFOB価格はトン当たり630ドルと、5月初めの約800ドルから一気に170ドル(11%強)も下った。史上最高値をつけた昨年8月比では52%の大幅下落となる。
 
 BZの国際スポット相場は本来、上下動が激しいことで知られるが、最近のような大幅下落はめずらしいケース。わが国芳香族各社も予想できなかったとしている。
 
 理由としては、中国のスチレンモノマー(SM)需要の急激な縮小があげられている。中国ではSMの輸入価格上昇に対応できない、PSなど誘導品メーカーの間に大幅減産の動きが広がっている。このためSMの消費が急速に縮小し、アジア各国のSMメーカーも減産を余儀なくされた。同時にフェノール(PH)の需要も減退傾向を見せており、その結果BZの需給ギャップが一気に拡大したというのが関係者の共通した見方だ。
 
 ただ、BZのスポット市況軟化が長期にわたって続くと見る向きはほとんどない。中国のSMやPH等の需要は一時的に停滞することはあっても、マクロで見れば引き続き拡大すると見られているし、BZの供給力が増加する見通しもないからだ。