2005年06月02日
プラ協、CD製品の材料リサイクル技術を開発
世界初の情報破壊-金属剥離-アロイ材料化の一貫システム
【カテゴリー】:新製品/新技術(行政/団体、環境/安全)
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 プラスチック処理促進協会は1日、廃棄量が年々増加の一途を辿っているCD製品の材料リサイクル技術を開発したと発表した。
 
 これは、市中から回収された使用済みCDから先ず始めに記録電子情報をマイクロ波照射によって破壊、次いで、CD表面に蒸着されている金属を剥離し、最後にポリカーボネート(PC)製ディスクを破砕してポリマーアロイ材料を主体とする成形材料に再生するというもの。内部記録情報の破壊-金属剥離-原材料化の一貫システムでCDを材料リサイクルする技術の開発は世界でも今回が初めて。平成16年度の日本自転車振興補助事業としてオリエント測器コンピュータ(株)と出光興産(株)の協力を得て開発に成功した。
 記録情報の破壊に当たっては、回収されたプラスチック(PS)ケース入りCDをダンボール箱に詰め(一箱80枚)たまま一括処理する。したがって、記録情報が外部に洩れる心配がないのがこのシステムの大きな強みという。また、極めて高精度の手法で金属を剥離するので、純度の高いPCを再生できる点も特徴の一つだと説明している。
 
 再生材料は、PCの一般グレードへの再生も可能だが、同協会では品質面と経済性の両面から判断して配合率20〜30%でポリマーアロイの原料として活用されていくことを期待しているという。複写機・プリンタハウジング、ノートパソコン部品等のOA・文具機器を中心に年間2〜3万トンの需要が見込まれると判断している。
 
 現在は、オリエント測器コンピュータが大阪工場内に一連のシステムを設置して経済性の確認を含めた実証運転を実施中。その結果経済性については、ダンボール箱で4万箱(CD300万枚程度)以上の回収量を確保できれば、処理能力507万枚の場合の稼働率62%で採算を十分確保していける見通しがついたとしている。1箱当たりの収入としては、PCで2,216円、ケースのPSで353円の計2,569円を想定している。
 
 最近におけるCDの国内流通量は世界の約10%の約27億枚(PC消費量換算で約4万トン)で、今後も需要は順調に拡大していくと予想されている。しかし使用済み製品のリサイクルはごくわずかにすぎず、多くは破砕もしくは未破砕のまま中国に輸出されているが、十分な前処理がされていないため高品質を要求される分野での再利用はほとんど進んでいないのが実情のようだ。それだけにプラ協の今回の新技術開発の持つ意味は大きいと言え、今後の普及が注目される。