2005年06月10日
帝人ファイバーとペットリバースが国に意見書
安定した原料確保への国の施策を要望
【カテゴリー】:経営(環境/安全)
【関連企業・団体】:帝人

 使用済みPETボトルの大手リサイクル企業である帝人ファイバーとペットリバースの両社はこのほど産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会の群嶌孝座長(同志社大学教授)に対して「容器包装(PETボトル)リサイクル法見直しに関する意見」と題する意見書を提出した。
 
 趣旨は、最近顕著になってきた地方自治体による分別収集PETボトルの輸出の増大が様々な問題を引き起こしつつあるのでその解決に国として取り組んでほしというもの。問題解決のための具体策として
 (1)市町村が分別収集したPETボトルは、容器包装リサイクル法に則り可能な限り指定法人ルートに集約できる制度の導入。
 (2)集団回収や店頭回収したPETボトルを指定法人ルート集約できる制度の導入。
 (3)現在、埋め立てられたり焼却されたりしているPETボトルを収集するための国・市町村と事業者が一体となった国民への啓蒙活動の強化。
 の3つの施策を実行に移してほしいと要望している。
 
 両社では、最近になってPETボトルが有償で大量に海外に流出するようになってきたため、これまで指定法人である日本容器包装リサイクル協会を通じて使用済みPETボトルを確保してきた両社をはじめとしたPETボトルリサイクルのリサイクル事業者が事業運営の危機に直面しているという。

 こうした事態を放置しておくと、(1)不純物が混入したPETボトルが輸出先で環境・衛生上の問題を引き起こす心配がある(2)国内での再資源化・再利用量が減少することによって、国策である資源生産性向上の狙いが損なわれることになる(3)このままでは国内の再生処理事業者が疲弊し、そうした中で海外諸国がPETボトルを国産化するなどで日本から輸入しなくなった場合は国内に使用済みPETボトルが溢れる事態となる等々の多くの問題が発生すると指摘している。

 なお、両社の現在のPETボトルの処理(ボトルtoボトル)能力は、帝人ファイバーが年11万2,000トン(ボトル原料化能力は9万トン)、ペットリバースが2万7,500トン(同2万2,300トン)。今年4月の同協会の引き取り数量は1万1,280トン(前年同月比87.5%)となっている。