2005年06月13日
容器包装の特定事業者、事業者負担の論拠に強い疑問
相次ぎ意見書を中環審の部会長に提出
【カテゴリー】:環境/安全(行政/団体)
【関連企業・団体】:環境省

 「容器包装リサイクル法に基づく各種容器包装の分別収集・選別保管に係わる費用の一部または全てを事業者に負担させるべき」とする地方自治体の主張に対し、容器包装の再資源化(リサイクル)を分担してきた飲・食料や流通業界の間から反対の意見書が相次いで中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会の田中勝部会長に提出され始めた。
 自治体の主張に対しては、これまでも日本商工会議所、日本プラスチック工業連盟、PETボットル協議会、日本チェーンストア協会、全国清涼飲料工業会、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会--などが「事業者負担が費用を負担すべきとする自治体の論拠が明確でない」「事業者の負担によって廃棄物の排出が削減されるとはいえない」「すでに減量化や再商品化で多大な費用を負担している多くの事業者にさらに負担を強いるのは公平の原則に反する」--などの点を理由に反対の意見書を関連の審議会に提出してきた。
 加えて先週末から13日にかけては、日本即席食品工業協会、日本缶詰協会、全国味噌工業協同組合連合会といった容器包装の最終需要家の業界団体も同じ趣旨の意見書を提出、中央環境審議会等ならびに中央行政当局に理解と適切な対応を求めた。
 
 また13日に開催された中環審廃棄物・リサイクル部会の懇談会でも、ビール酒造組合、全国牛乳容器環境協議会、日本チェンーストア協会、日本石鹸洗剤工業会、食品産業センターなどが「始めに“事業者負担ありき”で論議が進められるのは納得できない」「事業者に分別収集費を負担させることがどうして環境負荷や社会コストの低減に結びつくのかの明確な説明がない」「中環審での論議は本来はコストの低減やリサイクルの一層の推進策について進められるべきなのに費用負担問題に終始しているのはおかしい」--など、中環審の審議の進め方に対する不満も含めた反対意見が相次ぎ、最後の方では消費者運動家から「事業者負担論は(リサイクル問題の解決策にならず)単なる費用の付け替えにすぎないのではないか」といった疑問も提示され、事務局の環境省の担当者が答えに窮する場面も見られた。
 環境省では、この日の論議も踏まえて早急に同部会の「中間とりまとめ案」を再度作成して23日に同部会の「容器包装リサイクル制度に関する拡大審議会」を開催して各委員に諮ることにしている。