2005年06月24日
容リ法の見直し、事業者に厳しい内容に
中環審も中間とりまとめ案を作成
【カテゴリー】:環境/安全(行政/団体)
【関連企業・団体】:環境省

 中央環境審議会の廃棄物・リサイクル部会は23日に第34回会合を開き、容器包装リサイクル法の見直しに関してこれまで同部会で検討してきた結果を事務局の環境省が整理した「中間とりまとめ案」について意見を交わした。
 今回環境省がまとめた同案は、「容器包装の分別収集・選別保管に係わる費用の一部を事業者が負担することが適切と考えられる」「主務大臣が事業者ごとに排出抑制および再使用に係わる指針を策定して事業者にその目標の達成状況を報告させて公表し、併せて指導・助言する仕組みを構築する施策が必要」--等々、同法で規定する特定事業者側に極めて厳しい義務を負わせることを重要なポイントとして取り上げるというものであった。このため同日の会合では、これまで同様に事業者側の委員からは反対意見が相次いで表明されたが、結局は環境省が自治体や消費者グループ側の委員の後押しを受けて表現の一部を修正することを条件に寄り切るかたちとなった。
 これで、産業構造審議会に続いて中央環境審議会でも、特定事業者側にいくつかの点で新たな義務を背負わせることを主眼とする容器包装リサイクル法の改正案が取りまとめられるのは確実となった。改正案は、環境省と経済産業省によるパブリックコメントの募集を経て今年秋中に作成される見通し。
  
 この日の会合では、専ら「容器包装リサイクル制度の見直しに係わる具体的な施策案」を巡って議論が沸騰した。出席した合計21人の委員の間で意見が割れたのは主に以下の5つの論点についてであった。
 (1)容器包装廃棄物についての有料化
 (2)リターナブル瓶の自治体による分別収集・選別保管
 (3)スーパー等の小売店によるレジ袋の無料配布の禁止
 (4)特定事業者(容器や包装を利用する中身製造事業者、商品を販売する際に容器や包装を利用する小売・卸売事業者、容器の製造事業者、容器包装に入った商品の輸入販売事業者、容器を輸入する事業者)による排出抑制・再使用の自主的取組を促進するため主務大臣が業種ごとに排出抑制および再使用に係わる指針を策定し、目標の達成状況を報告させるとともにそれを公表し、併せて必要に応じて指導・助言等を行う仕組みを構築する
 (5)事業者が拡大生産者責任の考えに基づき、容器包装の分別収集・選別保管に対しても一定の責任を果たすことようにすることが適切で、ついては市町村の分別収集・選別保管に係わる費用の一部を事業者が負担することが考えられる。
 
 いずれの項目についても、事業者側、市町村側、消費者運動家側それぞれの立場が異なるため意見の一致が見られないまま時間が経過、結局は事務局が、それぞれの項目ごとに条件を付けることで双方に折り合いを求めて閉会に持っていった。
 例えば、レジ袋の無料配布の禁止についてはスーパーの要求する法制化に特定せず自主協定の締結も含めて検討していくことにした。また、事業者に分別収集・選別保管費用の一部負担を義務付けることに関しては、事業者の負担が過重なものとならないよう十分配慮することと市町村のコストの透明化と業務の効率化を推進することが不可欠との主張を盛り込むことにした。
 ただし、最大の争点となった分別収集・選別保管費用の事業者による負担については、実際にどのていどを負担を求めることにするのか、また集めた資金をどのように利用していくのか、さらにはそれが実際の問題解決にどのように役立っていくのか--といった点がいっさい論議されないままで、両審議会の中間とりまとめ審議を通過したことには今後多くの関係者から疑問が投げかけられそう。