2005年06月27日
PVCのアジア向け輸出価格が反騰
7月分は30ドルアップの730〜750ドルに
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外、市況)
【関連企業・団体】:大洋塩ビ

 大洋塩ビ、信越化学、カネカなどわが国のPVC(塩ビポリマー)メーカー各社が中国ならびに東南アジア諸国のPVCユーザー大手と進めていた同樹脂の7月分の輸出価格交渉が先週末までにまとまった。
 
 これまで同様に、取り引き数量の多寡や品種の違いによって実際の各社の契約価格には多少の差異があるが、平均をとると、中国の輸出加工品向けがCFRトン当たり730ドル、東南アジア地域向けが同750ドルとなった模様。6月の価格に比べると、いずれも同30ドルのアップということになる。
 
 わが国のPVCメーカーによるアジア地域向け輸出価格は、3月の910〜920ドルをピークに毎月下降線をたどり、6月には700〜720ドルまで下がった。これは、それまでの数ヶ月で在庫を必要以上にストックした各国の需要家の多くが化学製品全体の先安予想に基づいて一斉に海外品の買い控えに踏み切ったことや、長期間休眠状態を続けていた中国国内のカーバイド・アセチレン法メーカーが相次いで稼動を再開したことなどでアジア地域全体の需給バランスに大幅なギャップが生じてきたことによるものであった。
 それが4ヶ月振りに反騰することになったのは、アジア地域全体の需給バランスが6月半ば以降急速に回復してきた機を捉えて大洋塩ビなど日本側各社が採算是正を目指してこれまで以上に強硬な態度で交渉に臨んだためと見られている。
 最近におけるアジア地域のPVCの需給バランスは、ユーザー在庫の急激な縮小と域内需要ならびに米国向けクリスマス商品の生産の最盛期入り、さらには台湾や韓国のPVCメーカーの採算割れに伴う減産開始等によって大きく改善されてきており、7月から8月にかけてさらに売り手市場型になるというのが現在の関係筋に共通した見方となっている。
 こうした展望に沿って、大洋塩ビでは8月の輸出価格をさらに30〜40ドル引き上げたいとしている。