2005年06月28日
ポリエチレンの出荷、1〜5月計は予想以上に不振
ポリプロピレンは逆に予想を上回る伸びに
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の出荷数量の1〜5月の累計は、LDPEとHDPEがともに前年同期の実績を下回る規模にとどまった。しかしPPは逆に前年同期を上回っている。
 うち両PEについては、昨年末に経済産業省製造産業局がまとめた05年の年間需要見通しでもマイナス成長が避けられないとの結論になっていたが、実際の1〜5月累計はそれ以上の幅の縮小となっている。PPの場合は、逆に同省の予想を上回る伸びとなっている。
 
 ポリオレフィン各樹脂の出荷の1〜5月の累計を前年同期の実績に対比すると、LDPEが4.6%減、HDPEが7.5%減、PPが3.1%増となっている。
 昨年12月に経済産業省製造産業局がまとめた3樹脂の05年トータルの対前年比は、LDPEが2.1%減、HDPEが1.2%減、PPが1.2%増となっていた。1〜5月の累計はあくまでもラップタイムなので単純に比較するのは妥当でないものの、両ポリエチレンの出荷が予想以上に低水準にとどまっている点はやはり否定できないところ。
 その要因は、両PEの国内向け出荷のうちの最大消費品種であるフィルム用品種の出荷が予想以上の減少となっている点にある。LDPEのフィルム用品種は3.7%、HDPEのフィルム用は5.9%それぞれ前年同期を下回っている。LDPEでは電線用や押出成形用が、またHDPEではガソリンタンク向けを中心に中空成形用品種がそれぞれ前年を上回ったが、構成比が圧倒的に高いフィルム用の減少をカバーするには至らなかった。
 反面PPの場合は、フィルム用が逆に4.4%増となった点が注目される。最大消費品種の射出成形用は0.4%増にとどまったものの、構成比第2位のフィルム用が順調な伸びを遂げ、また繊維用も4.0%増と好調であったため国内向け全体が当初の予想以上の伸びとなった。
 同じフィルム用でありながらポリエチレンとポリプロピレンとの間にこれだけの格差が生じた点については、海外からの安価な製品の流入量に大きな差があるためと分析する関係者が多い。現にPE袋とPEフィルムの1〜4月の総輸入量は16万7,065トンであるのに対してPPフィルムは1万5,238トンにすぎない。その意味では、PEフィルムとPE袋の今後の輸入がどのように推移していくかが注目される。

【関連ファイル】
ポリオレフィンの出荷の1〜5月計
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1119955049.xls