2005年06月29日
東レ、究極の「帯電防止次世代フィルム」開発
— 傾斜ナノコーティングで革新機能を付与—
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは29日、独自のコーティング技術により、究極の帯電防止性を有する次世代工程フィルムの開発に成功したと発表した。帯電防止性能を示す表面比抵抗は世界最高レベル、これまでの課題だった湿度の影響も受けないといった特徴をもつ。

 さらに、塗膜の厚み方向に特殊機能高分子をナノオーダーで傾斜的に存在させる「傾斜ナノコーティング」により、離型性やクリーンな表面性など、従来品では不可能だった革新機能の付与にも成功しており、IT・光学分野の各種工程フィルムとして、今後、大きな需要が期待されるとしている。特徴は次の通り。

(1)究極の帯電防止性付与技術の基本コンセプト
 コーティング剤には、電導度が高く、湿度などの環境に影響されないという理由から、従来のイオン伝導型帯電防止剤ではなく、電子伝導型帯電防止剤を使用した。独自に高分子設計したナノ分散剤を用いて、コーティング剤中の高分子の分子間凝集力を緩和させ、ナノレベルで均一な構造を形成させることにより、延伸後の最終コーティング膜の亀裂を抑止し、究極の帯電防止性の付与を達成した。

(2)傾斜ナノコーティングによる離型性、透明性、クリーンな表面性の付与
 独自の高精度二軸延伸技術と自己組織化コーティング膜形成技術との融合により、わずか数十ナノメーターの厚みの極薄膜中で、厚み方向に特殊機能高分子を傾斜的に存在させることに成功した。その結果、究極の帯電防止性に加え、離型性、透明性、ポリエステルのオリゴマーが析出しにくいクリーンな表面性等の機能を同時に付与することにも成功した。

 同社では、この次世代工程フィルムは、帯電防止性に加えて、離型性、透明性、表面性、耐久性などにも優れるため、今後は工業材料用途、中でも特にIT・光学関係の各種工程フィルムである溶液製膜用基材、各種保護フィルム、電子部品パッケージ、ゴミ付着防止フィルムなどに幅広く展開していきたいとしている。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1120023391.pdf