2005年07月07日
三菱化学、HEV時代を視野に自動車向け事業を拡大
リチウムイオン2次電池等得意の材料で優位を確保
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は7日にマスコミならびに証券アナリストを対象に開催した定例の事業説明会において、同社グループ全体が重点的に育成していくことにしている事業分野の一つである自動車向けビジネスの拡充策についてその概要を明らかにした。
 
 それによると同社では、10年後にはリチウムイオン電池搭載のより軽量でより安全性能のHEV(ハイブリッド車)の量産が始まると想定、リチウムイオン2次電池や炭素繊維複合材料など同社グループが得意としている様々な高機能材料をタイムリーにユーザーに提供していくことで圧倒的に強い基盤を同分野で構築していく考え。
 
 この日の説明によると、同社グループの04年度における自動車向け材料の売上げ高は約1,000億円で、うちポリマーが800億円を占め、残り200億円をカーボンブラックや合成ゴム、アルミナ繊維製把持材等でカバーしている。
 各種の材料の中には圧倒的に高いシェアを確保しているものが少なくない。例えば、バンパーや各種の内外装品向けのPPでは45%、HDPE製の燃料タンクでは90%、アルミナ繊維製把持材では50%強のシェアを持ち、日本国内あるいは世界でもナンバーワンの地位をキープしている。尿素SCRシステム用高品位尿素水でも国内最大の製造能力を保有している。
 同社では、これら同社グループ特有の自動車向け高機能材料の育成に引き続き力を入れていくにとどまらず、これからはリチウムイオン2次電池材料、炭素繊維複合材、特殊ゼオライト、フォトクロミック材料--といった独自の新規高機能材料の事業の本格展開に拍車をかけていく考え。狙いは、世の中が求め、同時に自動車メーカーが必死になて追求しつつある省エネ型で軽量で安全性にも優れた次世代の自動車の量産と普及に材料面で大きく貢献していくことだと説明している。
 
 こうした考えに基づいて2010年には売上高を1,450億円に拡大、そして2015年には4,000億円強まで引き上げたいとしている。2010年の売上げの主要材料別の内訳の予想は、既存のポリマーが1,000億円、その他の既存材料が250億円、電池材料が200億円--となっている。それが2015年には、電池材料が1,200億円で既存のポリマーと完全に肩を並べ、そしてその他新規開発製品が800億円、新規ポリマーが500億円、その他既存製品が350億円--と大きく様変わりする見通しとなっている。つまり、最近開発に成功した同社特有の新規高機能材料の重点的な育成・強化によって近未来車の早期普及を大きく後押ししていこうとの考えなわけ。
 現在同社では、同社が得意とする機能材料を車体の全ての部分にフル活用した理想の「環境適合近未来車」を作成中。06年10月に完成の予定という。