2005年07月20日
タカラバイオ、明日葉有効成分カルコン類の工業的生産法を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:タカラバイオ

 タカラバイオ(加藤郁之進社長)は20日、明日葉の有効成分であるカルコン類の工業的生産法の開発に成功したと発表した。これにより、有用植物の有効成分が農地栽培しないで供給できる道が開けたとしている。この研究成果は、京都市で本年8月5日に開催される日本植物細胞分子生物学会で発表する。

 同社はこれまでに、キノコ類(ブナシメジ、ハタケシメジ、ホンシメジ)の人工栽培に成功しており、工業化を目ざしているが、明日葉の組織培養によるカルコン類の生産も農業の工業化の一環となる。

<明日葉カルコン類の生理活性>
 同社は、明日葉に含まれる2種類のカルコン(キサントアンゲロール:XA、4−ハイドロキシデリシン:4HD)に、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進する活性及び脂肪細胞へのグルコースの取り込みを促進するインスリン様の活性があることを発見。また、自然発症の糖尿病モデルマウスを用いた動物実験で、発症前あるいは発症後にXA、4HDを経口投与することにより血糖値が低下することも明らかにしてきた。さらに、XA及び4HDとは別の、明日葉に含まれる新規カルコン(2種類)が、糖尿病の合併症の予防に効果があるアルドース還元酵素阻害活性を持つこともすでに発見している。

<明日葉の組織培養>
 まず、明日葉の葉、葉柄、茎、根などから無菌的に組織を切り出し、様々な条件下で脱分化を起こさせ、明日葉の細胞塊(カルス)を誘導した。続いて、最適な条件下で作り出されたカルスから、細胞の選抜及び様々な増殖細胞系統の構築を行い、HPLCによる定量分析の結果を指標として、カルコンを作り出す最適条件を見出した。

 植物組織培養による二次代謝産物の生産において、増殖の旺盛な細胞系統では二次代謝産物を作らない場合が多く、明日葉においても二次代謝産物であるカルコンが生産されませなかった。しかし、この増殖の旺盛な細胞系統を、オーキシンを除いた培地に移植すると、12日目からカルコンが誘導されることを発見した。さらに移植後、約60日間誘導条件で培養すると、農地で栽培した明日葉とほぼ同等量のカルコンの生産が認められた。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1121842595.doc