2005年07月20日
三井化学、PHとACの輸出価格を引き上げ
BZ価格の上昇に対応、8月積みのPHは1,150ドルに
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、フェノール(PH)の8月積みの輸出価格をトン当たりCFR1,150ドルに引き上げることにしてこのほど東南アジア諸国と中国の需要家各社に通告するとともに説得を開始した。また、アセトン(AC)についても同じく8月積み分を同860ドルに値上げする。
 
 7月のアジア相場はPHが970ドル強、ACが750ドル弱といったところ。いずれも6月と同一レベルにとどまっている。今年に入ってからのピークはいずれも4月で、PHは1,280ドル、ACは950ドルを記録したがその後は2ヶ月連続で下降し、そして6月、7月とも最近にない低水準に張り付いたままとなっている。
 それを同社では8月にPHを約180ドル、ACを110ドルそれぞれ底上げすることにしたもの。狙いは、原料ベンゼン(BZ)とプロピレンの国際価格の上昇による採算割れからの脱却に尽きると説明している。
 
 BZの7月のアジア価格(ACP)はトン当たり860ドルで、6月に比べると215ドルもの上昇となっている。米国のコントラクト価格(US/CP)は885〜900ドルで、6月に対比すると195〜210ドル上がっている。また、プロピレンの直近のアジア相場は1,000ドル強で、6月上旬に比べると220〜250ドル高となっている。
 三井化学では、原料価格がこのように高騰している中でPHとACの採算を確保していくのは不可能となっているので、8月入りとともにどうしても1,150ドルと860ドルへの底上げを実現したいとしている。PHを例にとると、採算の確保にはBZ価格プラス250ドルが最低ラインなので、CFR1,150ドルを目指すのは至極当然という。
 
 そうした同社に取っては、ここにきて中国やアセアン諸国の需要が例年のクリスマス関連製品の生産シーズン入りに伴って上向いてきている点がさいわいなところといえる。また、新興勢力の中国・高橋石化、台湾・長春石化、韓国・錦湖とLG石化等がいずれも採算割れのため大幅な減産を実施中なこと、さらには新日化の生産停止と三井化学の定修等が重なっていることなどもあってアジア全体の需給はしばらくの間ウエルバランスで推移する見通しにある。それだけに同社では、この機を捉えて早期決着を目指していく構え。