2005年08月10日
エチレンのスポット価格、8月下旬渡し分が反騰
極東市場ではCFRトン1,000ドルの成約も
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 三井物産、丸紅など大手商社によると、アジア地域におけるエチレンのスポット相場が再び上昇傾向をたどりはじめた。ごく最近成立した極東向けの8月中・下旬渡し分の商談の中には、CFRトン当たり1,000ドルでユーザーの同意が得られたケースも見られるという。各商社とも、盆の休暇明けから始まる極東向け商談では最低でも950ドル、多くは1,000ドルでの契約成立が相次ぐと予想している。
 
 わが国大手商社筋によると、先週末におけるアジア地域のエチレンのスポット相場は、極東向けがCFRトン(以下同)920〜940ドル、東南アジア向けが890〜920ドルとなった。最近のピークの7月第4周末に比べると、東南アジア向けは最大で30ドル、極東向けは同50ドル下がったことになる。これには、早期実施が予想されていたタイの給水制限とそれに伴うエチレンプラントの操業短縮が回避されたことと、7月に顕在化した高騰に対して需要家の多くが商談の一時停止措置を講じてきたことが少なからず作用したと見られている。
 
 ところがそうした中でも、特に極東の需要家の間には世界全体のエチレンの需給バランスが急速にタイト化するとの見方がにわかに広がりはじめ、それが大手商社やエチレンセンターに対する引き合いの拡大となって現われ、そしてオファー価格の反騰に結びついてきているというわけ。
 これには、アジア、欧州、米国の各地におけるエチレンの供給がプラントの定修と操業トラブルで大幅に制約される見通しとなってきたことが大きく影響していると見られる。