2005年08月12日
オレフィンの需給が各地で急逼迫の公算
亜・欧・米での定修の集中に臨時運休が重なる
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外、市況)
【関連企業・団体】:なし

 三井物産や丸紅など大手商社やエチレンセンター筋の調べによると、8月から11月にかけてアジア、欧州、米国の3極でオレフィンの需給バランスが急速に逼迫する公算が濃厚となってきた。
 これは、同期間内に台湾、韓国、タイ、ドイツ、フランス、ノルウエー、スペイン、米国の各国でエチレンプラントが相次いで定修に入るのに加えて、タイやシンガポールなどでトラブルあるいは操業状況の再点検のために臨時運休に踏み切るセンターが出てきたことによるもの。折から需要は8月下旬以降に特にアジア地域で急拡大する見通しにあり、しかもナフサの高騰が必至となっているのでオレフィン市況の高騰も避けられなくなっている。このため特にアジア地域の誘導品メーカーと加工メーカーを含む需要業界は再び厳しい局面に立たされることになりそう。
 
 現在アジア地域では定修もしくは他の事情で運休中のエチレンプラントは、台湾・CPCの年産(以下同)23万トン能力の第3号機と三井化学・千葉の55万3,000トンプラントの2基。うち三井化学のプラントの運休は定修によるもので、18日までに作業を完了して19日から運転を再開する予定にある。しかしCOPの第3号機は、先月発生した火災事故に対して地域住民が強く反発して操業再開反対の運動を展開中なので、再スタートがいつ可能になるかの見通しが立っていない。
 アジアではこれらのほか、ごく最近、タイのTOCの38万トン能力第1号機と30万トンの第2号機がともに関連装置のトラブル操業短縮に追い込まれてもいる。いずれも15%ていどの減産を余儀なくされている模様。
 加えて8月29日にはシンガポールのPCSの48万5,000トン能力の第1号機が運休する。メカニカルチェックが目的のようで、9月18日までの間全面的な操業休止となる見通し。
 そして9月に入ると、韓国と台湾で定修による運休が連続的に実施される予定にある。台湾・CPCが50万トン能力の第5号機を9月中旬から1ヶ月運休するのをはじめ、韓国・ロッテ石化の65万トン装置、同・KPICの40万トン設備、同・YNCCの38万トンプラントが9月中旬から10月中旬にかけていっせいに運休する。
 
 一方、このところかなりまとまった数量のスポット玉をアジアに投入してきている米国と欧州でも定修が集中する見通しにある。米国・ダウケミカルがフリーポートとトラフトの両工場のそれぞれ100万トンプラントを9月中旬からそれぞれ2週間と6週間運休、またFPCもカンフォートの80万トン設備を10月初旬から5週間にわたって休止して定修を実施する予定。
 欧州では、オーストラリアのOMVが35万トン装置を、ドイツのBPケミカルズが48万トン設備を、スペインのダウケミカルが56万5,000トン装置を、ノルウエーのノルエチルが47万トン装置を、そしてフランスのトタルが52万トンプラントを9月から11月にかけて順次休止する予定という。
 
 最近のアジア地域では、誘導品メーカー各社が中国の需要の回復に歩調を合わせて既存プラントの稼働率を引き上げつつあり、加えて台湾や中国に新設中の各種誘導品プラントが秋口から順次操業を開始する見通しにもある。しかし一方のオレフィンの供給は向こう数ヶ月にわたって前年世界的に縮小が必至となっているわけで、これに伴いアジア地域を中心に多くの石化製品の需給は急速にタイト化していくことになりそう。