2005年08月22日
三井化学、TPX設備の大幅増強工事を完工
11月には環状オレフィンコポリマー設備も拡充
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は岩国大竹工場内で機能性ポリマーの一つである「TPX」の生産設備の増強工事を進めていたがこのほど完工し、試運転に入った。
 今回の増強工事によって「TPX」の生産能力は現在の年産7,500トンから一気に1万3,000トンに拡大した。同社では8〜9月の2ヶ月間試運転して10月から本格操業を開始する予定。
 
 「TPX」は、企業化メーカーが世界でも三井化学1社だけという高機能性ポリオレフィンの1種のメチルペンテンコポリマー。需要が耐熱ラップフィルムや合皮用離型紙、さらにはプリント基板用離型フィルム向け等に順調に拡大し、今後も一層の増加が見込めるようになってきたことから7割強の増強に踏み切った。スタート当初の設備能力の6.5倍の規模に拡大したことになる。
 市場は台湾や中国を中心に海外でも急拡大しており、このため同社では生産量の2分の1を輸出していく方針。
 
 同社ではこれに続いて、同じ機能性ポリマーの1つである環状オレフィンコポリマー「アペル」についても生産設備の増強工事を進めているところ。岩国大竹工場で稼動中の年産2,800トンプラントを手直しで3,400トン能力に増強する。完工は今年11月の予定。
 カメラ付き携帯電話のレンズ、光ディスク用ピックアップレンズなど光学部品向けや医療器具・包材、さらには機能性外装フィルム向けなどの需要の拡大に対応してのもので、来年1月から本格稼動入りする計画。
 
 三井化学が現在手掛けている機能性ポリマーは、加工製品を含めると13種におよぶ。わが国の化学企の中でも最も多彩だが、それぞれが独自の需要分野を順調に開拓中。「TPX」と「アペル」以外のポリマーも設備の増強が必要となってきており、変性ポリアミド6T「アーレン」が次の候補として挙がっている。