2005年08月23日
三井化学、フェノールの減産に踏み切る
中国の買い控えとアセアンの需要減に対処
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は23日、フェノールの減産に踏み切ったと発表した。19日から、千葉、大阪、シンガポールの3拠点で操業中の合計年産75万トン能力の製造設備それぞれについて操業率を約15%引き下げている。差し当たり9月末まで継続、10月以降については9月末にその時点における需給のバランスと市況を睨んで判断する。同社では、これに伴い9月末までは、中国向け輸出を全面的に中断することになる。

 今回の措置は、中国をはじめとしたアジア地域全体の需給バランスと市況が悪化してきたことに対応してのもの。アジア地域の需給バランスは、(1)中国の需要家が金融引き締めと原料価格の乱高下に対する反発から海外各国にたいする発注を大幅に縮小する行動を取りはじめたこと(2)アセアン諸国における合板用接着剤向けの需要がインドネシアのラワン材の伐採規制の強化によって減少してきたこと(3)3月末から4月末にかけて中国、台湾、韓国の3カ国で合計4社が相次いで新・増設を実施したため供給能力が合計年産65万トン規模拡大したこと--等からここにきてにわかに悪化してきている。また、それに伴って市況も軟化、最近のアジア地域の平均スポット価格はトン当たりCFR960ドルで、原料ベンゼン見合いの価格レベルを完全に下回っている状況にある。

 こうしたことから、アジア地域のフェノールメーカーは8月入りとともに相次いで生産調整に踏み切りつつある。アジア地域では三井化学に次ぐ生産・販売シェアを持つ台湾・FCFCも先週はじめから10%の減産を実施中。これにアジア地域のトップ企業の三井化学が加わることで、当面の需給はウエルバランスに向かう可能性は高い。

 中国などアジア市場では、こうしたサプライヤー各社の動きに反応して週明けからオファー価格の引き上げを表明しつつある。トン当たり20ドル前後のアップとなっており、今週から来週にかけてさらに上昇する公算が濃厚となっている。