2005年08月25日
昭電・産総研・電中研「炭化ケイ素半導体ウェハ」量産化へ共同研究
「エピタキシャルウェハ」安定供給体制構築めざす
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は25日、産業技術総合研究所、電力中央研究所と協力して高品質炭化ケイ素(SiC)半導体「エピタキシャルウェハ」量産化のための共同研究を開始すると発表した。SiC半導体デバイスの実用化上ネックとなっている大口径・高品質エピタキシャルウェハの量産化と、安定供給体制の構築をめざす。

 共同研究では、3インチ以上、大口径複数枚の高品質エピタキシャル成長技術を実用機レベルで実証する。この成果をもとに、新たに事業体を組織し、2006年10月をめどにウェハの供給を開始する予定。

 SiC半導体は、優れた物理的・化学的性質を有することから、シリコン(Si)半導体を凌ぐ小型・低損失の半導体デバイスの実現が可能とされている。電力、自動車、鉄道、家電など多くの分野に利用されている電力変換(直流ー交流)用のスイッチングデバイスや、通信用の高性能・大電力高周波デバイスへの応用など、今後の省エネデバイス技術として注目されている。

 しかし、まだエピタキシャルウェハの品質が十分でなく、特に大面積チップの作製は困難で、実用化に大きな障壁となっていた。またエピタキシャルウェハは、日本国内に安定的に供給できる企業がないため、わが国のSiCデバイス開発、SiC電力変換器開発にとって足かせとなっていた。

<共同研究の背景>
(1)平成10−14年度に経産省・NEDOの「超低損失電力素子」プロジェクトが産総研を中心に行われ、SiCウェハ技術及びパワーデバイス化プロセスに関する要素基盤技術開発に大きな進展がみられた。
(2)電中研では、高品質高速エピタキシャル成長技術及び大面積デバイスチップの開発を行なった。
(3)昭電は、上記プロジェクト及び自社研究によりバルクウェハに関する研究に成果をあげた。

 昭電など3者は、これらの技術開発成果をもとに、今後高品質均一エピタキシャル成長技術を3インチ以上の大口径複数枚同時処理可能の実用機レベルで実証するための共同研究を行うことで合意した。研究規模は総額約6億円、計画期間は3年。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1124938455.doc