2005年10月18日
スチレン工業会、PS需要の中期展望を作成
国内は向こう2年とも微増の92万トン台と予想
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(行政/団体)
【関連企業・団体】:日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会は18日、PS(ポリスチレン)の日本ならびにアジア地域の中期需要展望を発表した。
 
 うち日本国内の需要については極めて慎重な見方を取っている。05年は90万1,000トンで前年比4%減のマイナス成長に転じ、翌06年は92万トンに拡大するものの伸び率は2%と小さく、07年も06年のほぼ横並びの92万4,000トンを維持するにとどまると予想している。
 
 国産品の需要についても同様の見方となっている。05年は前年比5%減の87万4,000トンに縮小、06年は88万5,000トンに拡大するが伸び率はわずか1%であり、07年もほぼその横ならびの88万9,000トンどまりと予想している。
 05年が4%減になると見ているのは、9月までの実績から推して全ての需要分野がマイナス成長になる見通しが濃厚となってきたため。電機・工業用は3%、包装用は4%、雑貨・産業用は12%、FS用は2%--それぞれ前年を下回ると予想している。続く06年は一転して軒並み前年を上回るとの見方になっている。しかし伸び率は、電機・工業用の3%増を除いて全て1%にとどまるとの予想だ。電機・工業用がマイナス3%からプラス3%に転じると判断しているのは、家電メーカーの間で生産拠点を再び日本に戻す動きが出始めたためという。07年も電機・工業用は2%の成長が見込めるとしている点が注目される。しかし最大消費分野の包装用については、05年が4%減と落ち込み、06年は回復するが伸び率は1%と小さく、07年も同じ数量を維持するにとどまるとと予想となっている。06年の伸び率が1%どまりと判断しているのは、市場の要求もあって製品の薄肉化・軽量化がなお続く見通しにあるため。
 他方、輸出入バランスについては、05年が輸出3万5,000トン、輸入2万7,000トンの差し引き8,000トンの出超になるとの見方を取っている。しかし07年と08年は、輸出も輸入も3万5,000トンで完全に均衡すると予想している。輸入が増えると判断しているのは、中国の国産化の進展で窮地に立つことになると見られる韓国が日本に余剰玉を振り向けてくる公算が濃厚なためという。
 
 一方、中国を中心としたアジアの需要(12カ国トータル)については、05年474万6,000トン、06年485万トン、07年497万8,000トン--と予想している。伸び率は05年が1%、06年が2%、07年が3%といずれも小さい。これは、90年代において大幅な成長を遂げてきた中国の需要の伸び率が鈍化しはじめてきた点を考慮してのもの。中国の需要予想量は05年が257万トン、06年が264万8,000トン、07年が272万8,000トン--とアジアの他の国を依然として大きく圧倒しているが、05〜07年の平均伸張率は年3.0%にとどまるというのが同工業会の見方となっている。
 対する中国の国内生産量は、今年春に年産30万トン能力の新プラントが立ち上がったのに加えて06年以降もTOTALやFCFCなどが大型設備を建設する計画を進めているので急ピッチで拡大する見通しにある。同工業会では、04年の時点で151万6,000トンにすぎなかった設備能力が07年には266万1,000トンになると予想している。需給バランスは、04年の100万4,000トンの設備能力不足が07年にはわずか6万7,000トンに縮小することになる見通しなわけ。
 この結果、これまで対中輸出に多くを依存してきた台湾、韓国、タイの3カ国は供給余力を持て余すことになり、特に中国への依存度の高い韓国は新たな消化先として日本に狙いをつけてくる可能性が高いのではないかと同工業会では判断し、警戒を強めている。