2002年05月29日
初の日中化学官民対話、“率直かつ友好的”に話し合い
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東ソー

 初の「日中化学官民対話」は27日北京市で開催されたが、28日夜帰国した日本側メンバーによると、対話は真剣・率直な中にも友好的に行われ、有意義だったという。
 
 対話は27日朝8時半から北京市内のホテルで開催された。中国側からは国家経済貿易委員会の李建勲・対外経済協調司処長をトップに、中国石油和化学工業協会の首脳陣ら、官民合わせて19人。日本側は経産省の本庄孝志化学課長を官代表、日化協日中化学産業交流連絡会の代表世話人である田代圓東ソー会長を民代表とする25人のミッションが出席した。
 
 まず李処長と本庄課長,田代会長の挨拶があり、日中双方が化学工業の現状を報告、続いて日本側から、中国への貿易量の多い塩ビ、高純度テレフタル酸、イソシアネート3品目について現状説明を行った。午後からは両国に関心の高い環境問題や知的財産権、投資、物流などについて幅広い意見交換を行った.
 
 この中で李処長からは、中国化学産業の現状について「化学産業は中国にとっても重要な産業であり、日本との関係でいえば、総貿易高735億ドルのうち日本は23%の170億ドルを占める最大の取引相手」であること、「化学品の生産や需要は順調に拡大しているが、なお生産性の低い設備や、管理・運営上の問題、さらに多くの雇用を守る必要がある」などの説明があった。
 
 また本庄課長は、わが国化学産業の現状について、生産・出荷状況や貿易動向などのほか、業界再編など当面しているいくつかの問題を説明。この中で「貿易量だけみれば日本は出超だが、化学品は裾野が広く、いろいろな形の商品になって輸出され、経済発展に貢献している。商品の一部は日本にも入っている。化学品の出超にだけ注目するのではなく、貿易全体のバランスの中で見ることが重要だ」などと説いた。
 
 塩ビなど3品目については、それぞれのメンバーが現状説明しながら、日中間の貿易関係について「中国の市場が伸びている中で日本からの輸出は増えていない」「中国は生産能力の不足から輸入せざるを得ない面もあるのではないか」「中国内のユーザー産業は原材料が不足すれば影響は大きいはずだ」などと考えを述べたという。
 
 対話は終始率直かつ友好的な雰囲気で行われ、李処長が最近のアンチダンピング問題と関連して「病気には予防と治療の両方の対策がある。悪い個所がみつかれば治療もやむを得ない」と発言したことに対して、本庄課長が「中国には昔から漢方というすぐれた療法がある。いきなり手術せず、内部から健康体にするようにしてはどうか」と、ジョークをまじえて応酬し、沸く場面もみられたという。
 
 第2回官民対話は、今年中にも中国からミッションを迎えて日本で開催される見通しだ。