2005年10月31日 |
自動車用PPの取り引き条件が改善へ |
ナフサ連動期間の短縮も一部でスタート |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(市況) 【関連企業・団体】:なし |
長年にわたって硬直状態にあった自動車部品向けPP(ポリプロピレン)の取り引き条件が大幅に改善される動きが出てきた。PPメーカー各社がかねてから強く希望していた基本価格全体の底上げ(ベースアップ)と、ナフサ連動型価格の適用期間の短縮を一部の自動車メーカーが受け入れ始めたことによるもの。 他の自動車メーカーも、最近の動向から推して、PP各社の長年にわたる強い改善要請を拒否し続けるのは得策でないとの判断に傾いている様子がはっきり窺える。今後のPP各社の説得次第では、全ての自動車メーカーから抜本的な改善について同意を取り付けることは十分可能と見られる。逆に、今回も大幅な改革を実現できなければ、わが国のPP各社引き続きPPビジネスの将来に明確な展望を切り開けないまま時を過ごしていくことになりかねない。 これまでPP各社が求めてきた改善点は、一つがナフサ価格の変動に合わせて価格を決定するいわゆるナフサ連動型の価格の適用対象期間の短縮であり、そしてもう一つが基本価格のベースアップであった。 前者については、適用対象期間が6ヶ月という長期の設定となっていて、しかも決済時期がナフサの半年間の輸入価格が確定した後という取り決めになっているため実際の入金時期が製品を納入して8ヶ月後となる点がPP各社の採算を大きく圧迫する要因となっていた。ナフサ価格が上下を繰り返す時代ならまだしも、この数年は大幅な連続上昇パターンが定着しているためPPメーカー側は常に過去半年前の安いナフサ見合いの価格での支払いしか受けられない恒常的な逆ザヤ決済を余儀なくされてきている。 一方の後者の場合は、研究開発に多額の資金が必要でコストが高いにもかかわらずこれまで何度か下方修正を求められてきたこともあって、基本価格が低水準に据え置かれたままきている点がPP各社にとって大きな悩みとなっていた。 このためPPメーカーは、このままでは事業の継続も危うくなるとして数年前から自動車各社に抜本的な見直しを強く求めていたが、その結果ここにきて一部の自動車メーカーから改善について同意を得るのに成功、新たな展開に向け大きな一歩を踏み出せた。 ある自動車メーカーは、7月から、本社が自製するバンパー用品種について最も古くから取り引きのあるPPメーカーの底上げを認めたのに続き、10月からはグループ内の部品製作企業各社が購入するバンパー以外の部品向けの品種のベースアップも容認した。さらには、ナフサ連動価格の適用期間についても同じPPメーカーが強く希望していた3ヶ月への短縮を認め、7〜9月期分から実行に移している。 これに触発されたのか、他の自動車メーカーも底上げと適用期間の短縮、あるいは従来の後決め方式から先決め方式への移行等について真剣に検討を開始している。かつてない新たな動きが始まっているわけで、こうした動きをPP各社がいかに加速していくかが注目される。 なお、最近におけるPPの自動車部品向け出荷量は年間およそ70万トンと見られている。 |