2002年05月29日
昭和電工、MOCVD原料用キレート金属錯体の量産化技術を世界で初めて開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は29日、半導体製造工程、ディスプレーパネル製造工程などエレクトロニクス分野で用いられる、MOCVD法(有機金属気相法)の新しい成膜材料として幅広い用途が期待されている、ジピバロイルメタナト金属錯体(DPM錯体)の量産化技術開発に世界で初めて成功し、サンプル供給を開始したと発表した。

 DPM錯体は通常の有機金属化合物に比べて蒸気圧が高いため、200℃程度の低温で蒸発し、酸素の存在下で容易に分解し金属酸化物を生成する、MOCVD法の成膜原料として高い性能をもっている。また、ほとんどの金属元素はDPMと錯体(金属と有機化合物の複合体)を形成するため、自由に多種類の金属酸化物を成膜することが可能という、優れた性能を発揮する。
 
 しかしこれまで、DPM錯体の量産方法は確立されておらず、工業的に使用されることが稀な高価な材料だった。同社は長年にわたりEDTA、生分解性キレート剤GLDAをはじめとする各種キレート剤の製造・販売で培った有機合成、金属錯体合成技術を活かし、世界で初めてDPM錯体の量産化技術の開発に成功した。
 
 これにより、高価という問題点を解消し、高品質かつ低コストで、各種金属錯体のラインアップが可能となった。

 DPM金属錯体はPDP、FED等のフラットパネルディスプレイ用蛍光体、半導体プロセスにおける強誘電体膜、絶縁膜、電極膜等の原料として、エレクトロニクス分野で幅広い用途が期待できるため、飛躍的な市場の拡大が予想されるとしている。

 すでにHf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)、Ru(ルテニウム)、Cu(銅)、Y(イットリウム)、Ba(バリウム)、La(ランタン)、Tb(テルビウム)、Eu(ユーロピウム)、Tm(ツリウム)等のDPM錯体をラインアップしており、売上高は3年後に10億円を見込んでいる。