2005年11月16日
三井化学の藤吉社長が会見、経営概況を説明
量的拡大から質的拡大への転換を強調
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学の藤吉建二社長は16日に記者会見し、連結の中間決算と年度決算予想ならびに当面の経営目標等の概要を説明するとともに所感を披露した。
 
 中間期の営業利益と経常利益がともに減益となった点については、「ナフサ価格の高騰でコストが約500億円膨らんだのに加えて、TDIとPTAの中国向け輸出数量が縮小するとともに価格が下落したこと、さらにはPDPフィルターの価格が急落したことなどが重なって予想に反する業績となった」と説明した。ナフサ価格の上昇分の製品価格への転嫁の進捗状況に関しては、「国内販売での転嫁率が特に低く、上期の達成率は7割〜7割5分にすぎない」と強い不満を示した。
 
 しかし、「中間期が減益になったからといって、中期経営計画で掲げている07年度における連結経常利益目標の1,000億円を下方修正する考えはなく、また経常益の2分の1を機能材料部門で確保していくとの目標を変えることもない」と明言、「量的拡大から質的拡大への転換に一層力を入れていくことで中期目標をクリアしていくようにしたい」と強調した。
 そして、その実現のために「“事業の選択と集中”“機能性材料分野の拡大・成長”“石化・基礎化分野の収益力強化”の3点の経営課題のクリアに引き続き持てるエネルギーを集中していきたい」と述べ、機能性材料分野と石化・基礎化分野の強化についての具体策も披露した。
 
 その概要は以下の通り。
 ▽機能性材料部門の拡大・成長=長年蓄積してきた様々なポリマー技術と加工技術の有機的活用による機能性ポリマーズと機能性ポリマー製品群による「機能性ポリマーチ
ェーン」の形成が基本。具体策としては、EPTの増設、タフマーの新シリーズの育成、ナノ結晶構造制御型エラストマー「ノティオ」の発売、TPXやAPELの設備の増強、ウレタン塗料硬化剤設備の新設ウレタン系接着剤の増設、PDP光学フィルターの増強、太陽電池封止シート設備の拡大、衛材用通気シート設備の新設、高性能光触媒の発売--などを挙げている。また、07年1月には岩国に多目的セミコマーシャルプラントを建設して市場開発を加速することにもしている。
▽石化・基礎化分野の収益力の強化=「プロピレンチェーン」と「アロマチェーン」の収益力強化が基本。
「プロピレンチェーン」の収益力強化については、中国やタイにおけるPP自動車材事業の拡充、大阪工場に続いての市原工場におけるOCU装置の設置、出光興産との提携による分解原料の多様化(重質原料の使用)--等の課題を着実にクリアしていくことにしている。
一方の「アロマチェーン」の収益力強化に関しては、最適な生産拠点(アジア地域)における能力増強に積極的に取り組むことにしている。タイにおける年産14万トン設備の増設に続いての中国での同6万トンのPTA設備の建設、タイでのPETの増設、シンガポールでのPHの増設、中国におけるBPAの新設--などが有力候補だとしている。