2005年12月20日
三菱化学、青色有機EL用塗布材料で世界最高効率の素子を開発
大型ディスプレー用需要に合わせ07年度末に実用化
【カテゴリー】:新製品/新技術(経営、ファインケミカル)
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱化学科学技術研究センター

 三菱化学と同社の全額出資会社の三菱化学科学技術研究研究センター(MCRC)は20日、青色有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)用の塗布型発光材料で世界最高効率の素子の開発に成功したと発表した。

 今回開発した素子は、現在主流の真空蒸着プロセスに比べて製造設備が簡便で材料の利用効率が高いため、有機ELパネルの大型化に適している。塗布プロセスで形成されるリン発光層を中心に材料開発を進めてきた。
 
 リン発光材料は、現在中心材料となっている蛍光材料に比べて原理的な発光効率が100%と極めて高く、消費電量を低く抑えることができる点が大きな特徴とされる。このため、「次世代ディスプレーとして期待される薄型・大画面ディスプレーの製造に最適な材料」と両社は説明している。

 三菱化学では、今後は同材料の長寿命化や性能の安定化、さらには経済性の向上などさらに改良を重ね、次世代型ディスプレーの需要が本格的に立ち上がると予想される07年度末に実用化していきたい考えだ。市場としては、超大型照明や大型TVディスプレー、さらにはカーナビ等の中型ディスプレーなどに期待している。

 なお、今回の同素子の開発について山形大学の城戸淳二・工学部教授は「これまでの青色塗布型素子の発光効率を大幅に上回る成果であり、早期の実用化が期待される」とコメントしている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1135057867.doc