2006年01月10日
PETボトルの回収・リサイクルの低迷続く
改まらぬ市町村の輸出優先政策
【カテゴリー】:環境/安全(原料/樹脂/化成品、実績/統計)
【関連企業・団体】:日本容器包装リサイクル協会

 使用済みPETボトルの回収とリサイクル活動が引き続き低迷している。一般家庭から同ボトルを分別収集する市町村の間で、収集ボトルを国のリサイクル指定法人である日本容器包装リサイクル協会に引き渡さずに対中国輸出業者に売却するところが増えてきたことによるもの。このままいくと、容器包装リサイクル法の施行によって構築された使用済みPETボトルの再生有効利用システムの基盤が崩壊することになりかねないだけに成り行きが注目される。

 日本容器包装リサイクル協会が先週末に集計したところによると、昨年11月における同ボトルの自治体からの引き取り数量は1万2,999トンで、前年同月を11.8%下回った。これで今年度に入ってからの8ヶ月の全てが前年同月割れとなった。
 これに伴う4月から11月までの累計は12万2,885トンで、前年同期を11.1%下回っている。同協会による今年度の引き取り目標数量は前年度の実績の7.8%減の17万6,843トンとなっている。同協会が前年割れの目標を設定したのは、同ボトルが同法の対象に取り上げられて分別収集とリサイクルがスタートしていらい今回が初めてのこと。昨年秋ごろから市町村の間で分別収集費をカバーすることを目的に同ボトルを対中貿易業者に売却するところが出始めた点を重視してのものであった。
 その目標数量に対する4〜11月の累積の達成率は69.5%にとどまっている。このままいくと同法の施行いらい初の前年度割れとなるだけでなく、目標をも下回ることになる公算が極めて高い。
 
 これに連動して、同協会の委託先の再商品化事業者によるリサイクル実績も低迷している。11月のリサイクル数量は1万2,096トンで、前年同月を11.8%下回っている。8月以降4ヶ月連続の前年同月割れとなっている。4月からの累計は10万3,071トンで前年同期の横並びとなっているが、これは出だしの4〜5月と7月が前年を上回る規模であったことによるもの。8月以降の落ち込みは、最大の再商品化事業者である帝人ファイバーが原料ボトルの入手難からボトルtoボトル方式のリサイクル事業を中断せざるを得なくなったことによるところが大きい。
 同ボトルの再商品化の11月の手法別実績と4〜11月累計は別表の通りだが、この中ではボトル化の11月の実績が前年同月の3,180トンから122トンに縮小している点が特に目を引く。

【関連ファイル】
PETボトルの05年11月のリサイクル実績
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1136851842.xls