2006年01月13日
BZのアジアの需給、今年前半はタイトに
大手商社や石油業界筋が予想、年計も均衡
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外)
【関連企業・団体】:なし

 BZ(ベンゼン)の今年前半のアジア地域の需給バランスはこれまでとは打って変わってタイトになるとの見方が大手商社や石油企業の間に定着してきた。下期は供給が需要を若干上回るが、年計では需要と供給がほぼ均衡したかたちになるとの見方が多い。こうした予想通りにいくと、同地域全体の市況も原油のスポット相場に連動して高水準で推移していくことになりそう。
 
 ある大手商社は、今年のアジア地域全体のBZの需給について、供給量(生産と輸入の合計)を1,590万3,000トン(前年比106.9%)、需要量(輸出を含む)を1,580万6,000トン(同108.8%)と予想している。差し引きの余剰量は9万7,000トンにとどまるとの見方である。平均稼働率は99.4%ということになる。過去2年の需給バランスについては、04年が56万1,000トン、05年が35万4,000トンそれぞれ余剰になったと分析している。つまりは、今年は異例のウエルバランスになると予想しているわけ。
  
 多くの石油企業や石油化学企業もほぼ同じ見方を取っている。これは、アジア地域でSMをはじめとした誘導品がこれまで以上に増産される見通しにあることによるもの。今年は、中国・DOHOWの年産15万トンのSM設備など昨年第4・四半期に完成したいくつかの誘導品設備が本格稼動入りするのに加えて、中国・SHELL/CNOOCの同55万トンのSMプラントをはじめ韓国・YNCCの同14万トンのSM装置、タイ・PTTの同15万トンのシクロヘキサン設備、中国・KINNGBOARDの同12万5,000トンのPHプラント、台湾・FCFCの同60万トンのSM装置などが相次いで新たに操業を開始する見込みで、また既存プラントの手直し増強も各地で予定されており、このためBZの需要が前年を9%前後上回ることになるというのが大手商社や石油ならびに石油化学企業の関係者に共通した見方となっている。
 うち上期については、米国のリファイナリーの多くが1〜3月期に定修を実施することと、SHELL/CNOOCが大型SM装置を立ち上げることが大きく作用してショートポジションになるのが必至と判断している。
 もっとも、BZの供給力も年央以降増強されるので、07年は再び需給に余裕が生じると見る向きが多い。