2006年01月26日
アジアでPCの新・増設が相次ぎ完工へ
BPAの需給バランスはタイト化必至
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外)
【関連企業・団体】:三井化学

 PC(ポリカーボネート)業界筋によると、今年春以降来年後半までの間にアジア地域でPCの新・増設工事が相次いで完工することが確実となってきた。このため原料のBPA(ビスフェノール-A)の同地域における需給バランスは今年後半から急速にタイト化する公算が濃厚となってきている。
 
 今年春から07年下期にかけて完工する見通しにあるのは、タイ・タイポリカーボネートの年産(以下同)2万トンの手直し増強、台湾・旭美化成の7万トンの増設、中国・BAYERの10万トンの新設、中国・帝人化成の5万トンの増設、韓国・LG-DOWの8万トンの増設--の各新・増設工事。さらに08年には、台湾・FCFC、韓国・湖南石化、中国・帝人化成などが再増設や新設を計画していると伝えられている。
 同樹脂業界の多くは、06〜08年の3年間で合計年産51万トンの新・増設がアジア地域で実現すると推定している。
 
 BPAメーカーの多くは、こうした活発なPC企業の設備投資によってアジア地域におけるBPAの総需要量が今年下期から急拡大していくのが必至と判断している。BPAメーカー大手の三井化学では、05年の同地域におけるBPAの総需要量は前年を13%上回る168万トンに達したと想定している。ただし一方の供給能力は180万トンと見られているので、需給には若干のギャップがあったということになる。しかし同社では、06年の需要は11%増えて186万トンとなり、対する供給能力は8%増の195万トンにとどまるので、BPAの需給バランスが今年は大きく改善されるのが確実と予想している。しかも07年から08年にかけては逆にショートバランスに転じる可能性が強いとの見ている。中国のエポキシ樹脂の需要が大きく増えればBPAの早期・増設も必要となろう。