2001年09月05日
香西日化協会長会見「製造業の実態それほど悪くない」
“大きな時代の変化にどう対応するかが大事”
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学、日本化学工業協会

 日本化学工業協会の香西昭夫会長(住友化学工業会長)は5日の定例会見で、最近の経済動向について「世界同時不況に向かいつつあるが、経済構造そのものが変わってきている。まだ(政策的に)コントロールしうる範囲内にあり、そう悲観することはないのではないか」との見解を示した。
 
 同会長はこれまでも「悲観ばかりしていてもよくなるわけではない」など、“強気”ととれる発言をしてきたが、「失業率が5%を上回ったが」「株価が下がっているが」「政府の補正予算に対しては」などの質問にも、答えは明快だった。主な発言内容は次の通り。
 
(1)世界同時不況とか、ITバブル崩壊といってさわがれているが、日本の企業とくに製造業の実態はそれほど落ち込んではいないのではないか。消費が冷え込んでいるといっても、賃金水準は下っていない。むしろデフレで使う方には余裕が出てきた。レジャーや海外旅行など消費構造が変ってきたという面もある。

(2)設備投資は製造業の場合落ちてきているかもしれないが、国全体で見れば商業地域では店舗の増改築は盛んだし、地価が下がった結果、不動産投資も活発だ。
 株価が下がったというが、これも日本だけの現象ではない。むしろ今が買い時との見方もできると思う。
 在庫も増えてはいるが、原料は2カ月前に手当てしたのが入ってきているので直ぐに減産できない事情もある。そのうち落ち着くと思う。

(3)製造業は大変だというが、経営スタイルも大きく変わってきている。研究を大学に委託したり、中間物の生産をアウトソーシングする。海外ともe-ネットでつなぎ24時間効率よく操業していく時代だ。その意味では製造業はもっと小さくてよい。

(4)生産は確かに減少傾向にあるが、消費そのものは大きく落ち込んでいるわけではないし、売れるものは売れている。海外の化学会社は業績への影響を懸念して新しい経営方針を打ち出している。要はいかにダイナミックに今の経済変化に対応するかだろう。変化を見つめてうまく対応していくことが大事だ。