2006年02月09日
樹脂サイディング、順調に普及
05年の採用棟数は前年の2割増
【カテゴリー】:行政/団体(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:塩ビ工業・環境協会

 樹脂サイディング(家屋の塩ビ製外装材)の市場開拓に弾みがついてきた。塩ビ工業・環境協会と、同サイディングを製造・販売している信越ポリマー、三菱樹脂、ゼオン化成の3社とで構成する「樹脂サイディング普及促進委員会」の推定によると、05年の総採用棟数はおよそ3,600棟となったもよう。前年の実績は約3,000棟であったと見られるので、05年の伸び率は20%ということになる。最近のプラスチック製品の中では異例の高成長率といえる。
 
 樹脂サイディング(塩ビサイディング)がわが国に登場したのはいまからちょうど10年前の96年。その年の採用棟数はわずか30棟であった。米国やカナダでは90年代初頭から急速に普及し、家屋外装材全体の過半が樹脂サイディングで占められるようになっていたが、日本ではその存在自体が一般市民はもとより住宅建築業界でもほとんど知られていなかったため立ち上がりが大きく遅れることとなった。
 しかし最近は、建築業界と一般市民の双方に樹脂サイディングの持つ多くの特徴が広く知られはじめ、それに伴い受注件数も急拡大してきている。これには、同委員会が多くの著名な建築学者の支援も得ながら全国各地で建築関係者や市民を対象にセミナーや施工家屋の見学会を頻繁に開催して同製品の持つ特徴や採用した場合のメリット等を詳細に説明するなどの普及促進活動を積極的に展開してきたことが大きく寄与していると見られる。
 
 もっとも、同委員会では同サイディングが本格的に普及していくのはこれからだと判断している。その理由について同委員会では「多くの市民や建築関係者の方々には、樹脂サイディング特有の強み、すなわち凍害や塩害に侵されず酸性雨の影響を受ける心配もなくしかも衝撃に強いので寿命が長いこと、軽くて施工がしやすく家屋によけいな負担がかからないこと、汚れても水で簡単に洗い流せることといった多くの強みがまだほとんど知られていない。しかし、こうした特徴が多くの人々に知られるようになればカナダや米国のように一気に普及が進むはず」(佐々木慎介・同委員会代表)と説明する。同委員会では今年の採用件数を5,000棟と予想、2010年には2万棟に拡大すると見ている。