2001年09月04日
東レ、極薄のポリエスフィルム、「ナノアロエ法」で生産へ
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:帝人、デュポン、東レ

 磁気テープや工業材料に使われているポリエステル系フィルムがより極薄、高い耐熱性、寸法安定性で登場する。

 これは東レがナノテクノロジーを使い膜厚10ミクロン以下の同系フィルムの製造技術を開発、来年3月末から静岡県の滋賀事業場で年間500~1,000トン規模の生産に入る計画を明らかにしたもの。

 東レでは同技術を「ナノアロエ法」と呼んでいるが、異なる複数のポリマーを数ナノ(1ナノは10億分の1)の分子単位で分散させることでフィルムに新しい機能をつくりだす。通常のポリエステルフィルムに比べ耐熱性を示すガラス転移温度が20℃高く、ポリエチレンテレフタレート(PEN)フィルムとほぼ同等の125℃。寸法安定性能はPENフィルムの2倍もある。

 製造設備は既存設備を転用するため、コスト面で帝人・デュポングループのPENフィルムに対抗でき販売価格も有利に展開できるとしている。

 極薄ポリエステルフィルムは、大容量化が求められている磁気テープなどIT(情報技術)部材向けに伸びが期待されている。同社ではこのナノアロエ法をポリプロピレンやナイロンのフィルムにも活用できるとみている。
 ナノテクノロジーを使ってプラスチックフィルムを量産するのは同社が世界で初めてである。

 ポリエステルフィルムの世界需要は年間110万~120万トン。年率4~5%で伸びている。ナノアロエ法の極薄フィルムは当面、電子・情報分野向けが主力となるが、将来的には一般的な包装用などのポリエステルフィルム市場でもその有利性を発揮することになるとみられる。