2006年02月15日
欧米でも今年はエチレン装置の定修が集中
世界全体で特に春と秋には品不足が深刻に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外)
【関連企業・団体】:なし

 石油化学企業や大手商社の調べによると、今年はアジア地域にとどまらず欧米でも定修による大型エチレンプラントの運休規模が例年を大きく上回ることがはっきりしてきた。特に3〜5月と9〜11月に集中する見通しにあり、このため、もともとショートバランスが続いているアジア地域では春と秋を中心にオレフィン不足が一段と深刻になるとの見方が石化業界や商社筋に広がっている。
 
 今年は日本を中心にアジア地域全体でエチレンプラントの多くが定修を実施することになる点は早くから明らかとなっていた。ある試算によると、アジア地域全域で今年1年に発生する定修に伴うエチレンの生産ロス量は122万トンとなる見通しにある。05年の推定定修ロス量を45万トン上回ることになる。
 しかし最近の石化企業や大手商社の調べによると、欧米における今年の定修ロス量はこれを大きく上回る見込みにある。大手商社の調査では、今年の欧米の定修ロス量は05年より60万トン増えて160トンに達する見通しとなっている。世界全体では282万トンものロスが発生する計算になる。
 
 この影響は専らアジアの石化市場に顕著に現われてく見通しだ。大手商社が1月末にまとめたところによると、アジア全域の05年の石油化学製品の需給バランスは、エチレンに換算しておよそ450万トンの供給力不足となり、欧米や中東から大量に誘導品を持ち込んでもなお190万トン強のショートバランスになった。それが今年は、定修の集中が響いてアジア地域だけで570万トン、世界全体でも230万トン強が不足することになるとの予想となっている。しかも、世界的に定修が特に集中する春と秋は深刻な事態になるとの見通しであり、このためオレフィンの市況も春先と秋口に世界全体で高騰するのが避けられないとの見方が広がっている。ただしそうなれば、最大の消費市場である中国の需要家の多くは買い渋りと減産に踏み切ることが十分に予想される。