2006年02月20日
三菱化学など3社、有機トラジスタパネルを共同開発
「包括的産学融合アライアンス」の成果
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:パイオニア、日立製作所、三菱化学

 ローム、パイオニア、三菱化学の3社は20日、薄くて軽いフレキシブル・ユビキタス端末の表示素子として期待される、有機発光トランジスタを用いた8×8ドットアクティブマトリクスパネルの試作に成功したと発表した。

 有機発光トランジスタは、京都大学とNTT、日立製作所、三菱化学、パイオニア、ロームの6者で推進する包括的産学融合アライアンスの一環として、連携している千歳科学技術大学・安達千波矢教授(兼九州大学教授)が開発したTPPy(テトラフェニルピレン)材料ベースの横型トランジスタを用いている。

 ロームとパイオニア、三菱化学の3社は、この有機発光トランジスタの本格実用化を目指して8×8ドットマトリクスパネルの開発を進めてきた。
 
 最大発光輝度は約1000cd/m2、また発光の外部量子効率は約0.8%を得ている。従来の有機ELディスプレイに比べ、駆動トランジスタと発光素子を同一のデバイスで構成できるため、部品点数が大幅に減らせる特徴がある。将来のユビキタス端末用フレキシブルディスプレイの早期実用化に道を開くものだとしている。

 特徴は次の通り。
(1)有機発光トランジスタの安定化
 有機発光トランジスタの安定な高効率発光を得るため、材料の製膜前に絶縁膜表面を改質し、TPPy有機半導体層の配向(並び)を制御する技術を開発した。また凹凸の少ない高反射率のゲート電極を新たに開発し、有機半導体層の下に配置することで、トランジスタ内で発光した光を効率良く外部に取り出すことが可能になった。

(2)スイッチングトランジスタの開発
 表示デバイス素子である有機発光トランジスタのスイッチングを行うため、高移動度のペンタセン有機半導体を用いたトランジスタを開発した。また、これらを同時に基板に組み込むプロセスを開発し、アクティブマトリクス駆動で有機発光トランジスタを発光させることに成功した。

なお、本成果のパネルは、2月21日から東京ビッグサイトで開催される国際ナノテクノロジー総合展「nano tech 2006」に出展する。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1140406969.doc