2006年03月06日
HAO-LL原料のヘキセン1の価格が急騰
イネオスの減産で世界全体の需給が逼迫
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の高機能品種であるハイヤーオレフィン・コモノマー品種(HAO-LL)の製造に不可欠なC6コモノマーの価格が世界各地で急騰してきた。プライムポリマーなど樹脂メーカーや大手商社によると、C6コモノマーの原料となるヘキセン1の輸入価格は現在トン2,000ドル強で、1・四半期前に比べておよそ700ドル高、1年前とでは実に2倍強の上昇となる。

 最大の原因は、もともとヘキセン1の需給が世界全体にタイト気味となっていた中で、最大手メーカーの米・イネオスが米国、カナダ、ベルギーの3地域に保有していたヘキセン1(オクテン1も連産)設備のうち、老朽化が進んでいる米国の設備の操業を昨年末に停止したためで、これにより需給が一気に逼迫した。

 このため、必要なヘキセン1のおよそ2分の1を海外からの輸入に依存しているプライムポリマーなどわが国のHAO-LLメーカーは、適正稼働率の維持と採算確保の両面で苦境に陥っている。
 
 世界全体のヘキセン1の設備能力は現在、年間66万トン。イネオス、南ア・サソール、蘭・シェル、米・CTCCの計4社が市場の大半を占有している。昨年12月まで設備能力は73万トンだったが、イネオスの停止で7万トン分が縮小、その結果品不足感が広がり、価格も一段と高騰した。
 
 需要は全世界で着実に伸びている。HAO-LLの生産・出荷量がシーラント分野向けを中心に順調に拡大してきたことと、L-LDPEのトップメーカーのダウ・ケミカルがHAO-LLの重点をC8コモノマー品種からC6コモノマー品種に置き換え始めたこと等によるという。

 HAO-LLの昨年の世界の総出荷量は前年比約10%増の730万トンと見られている。ちなみに日本のHAO-LLの昨年の生産・出荷量は35万トン前後と想定されている。同樹脂に占めるC6コモノマーの原単位は10%強といわれるので、05年における世界のヘキセン1需給は、終始タイト気味で推移したことになる。

 それが今年は完全な供給力不足状態となった。年内の新増設計画も皆無だ。一方のHAO-LLは需要が引き続き順調に伸びる見通しにある。このため今後、同樹脂の価格はさらなる上昇が避けられないとメーカー各社は判断している。