2001年08月31日 |
公取委はポリプロ業界事前審査に慎重 |
市場への影響、多数ユーザーからヒアリング |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:住友化学、チッソ、トクヤマ、日本ポリケム、三井化学 |
三井化学、住友化学の両社は31日、10月1日に予定していたポリオレフィン事業統合新会社の発足を延期すると発表したが、公取委の事前審査がなぜ遅れているのかに関係者の関心が高い。公取委側はこれについて、「相談を受けた案件の中身に関することは一切お答えできない。今後の見通しなどもノーコメントだ」(松尾勝・企業結合課長)というのみである。 ただ、公取委側にも“判断に迷う”いくつかのケースが出てきているのは事実のようだ。 (1)三井、住友だけでなく日本ポリケムとチッソの両社からも事業統合の事前相談を受けていること。公取委は先に、出光石油化学とトクヤマ両社による事業提携を認めており、新たに2グループから相談を受けたとなると、ポリプロ業界はメーカー数が一挙に7社から4社に集約される。4社のうちでも三井住友と日本ポリケム・チッソの2グループのシェアが圧倒的に大きく、合わせると70%を超えることになる。 (2)ポリプロは生産量270万トンのうち輸出が30~35万トンあり、輸入の7万トンよりも量が多い。はたして業界に輸入品の脅威はあるのか。また中小のユーザーは輸入品がいつでも買えるようになっているのか。 (3)ポリプロは汎用樹脂の中でも特殊品グレードの比率が高い。自動車メーカーなどと共同開発したり、医療用や食品包装などに使われたりしている。こういった日本の市場にも海外品は入り込めるのか。 以上のような事情から、公取委の審査はかってなく慎重なようで、すでに中小を含むユーザー数10社から今回の統合、再編による市場への影響などについてヒアリング中といわれる。 |