2006年03月13日
新日石、室蘭製油所の水素化分解装置事故は「自然発火」
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:新日本石油

 新日本石油は13日、新日石精製室蘭製油所で2月5日に発生した、水素化分解装置の火災事故に関する原因調査結果を発表した。
 
 火災事故は2月5日午後1時07分、製油所構内の水素化分解装置第1蒸留塔付近で発生した。協力会社の社員が発見し通報した。同09分、構内に緊急連絡するとともに装置を緊急停止した。直ちに自衛消防組織や市の消防車がかけつけて消火活動に当たり、3時間後の16時09分に鎮火を確認した。死傷者はなかったが、水素化分解装置および残油脱硫装置の機器、配管類の一部を燃焼した。

 同社は原因究明のため、事故直後の5日深夜、小菅章光所長を委員長とする「室蘭事故調査委員会」を発足させた。メンバーは製油所、本社スタッフのほか、東京工業大学の大島榮次名誉教授と室蘭工業大学の幸野豊教授を顧問として迎えた。

 調査の結果、発災場所は水素化分解装置・第1蒸留塔塔底油ポンプ本体ドレン配管であることが判明した。火災発生のメカニズムは、以下の通りで「自然発火」によるとの結論に達したという。

(1)昭和57年の設置当初からドレン配管の硬度が高く「硫化物応力割れ」で亀裂が進行していた。
(2)亀裂が外部へ貫通し、微量の重油が保温材へしみ出していた。
(3)運転の進行に伴いポンプ内部の重油温度が210℃を超え、酸化・発熱・蓄熱の繰り返しによって「自然発火温度」の410℃を超えた。
(4)亀裂が拡大・外部床面に漏えいし、火災発生となった。 

 同社は今後、再発防止策として(1)既存機器の硬度点検(2)ポンプ製作時の硬度確認などを徹底することを決めた。また原因究明が完了したため、今後は必要な官庁手続きを経て復旧工事に着手する。運転再開までには3カ月程度を要する見込みだ。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/search.php?RCODE=4482