2006年03月27日
三菱レイヨン 恵州MMA工場が完成
年産9万トン ポリマー、シートまで一貫生産
【カテゴリー】:経営(海外)
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは広東省恵州市の大亜湾経済技術開発区・石油化学センターにMMA(メチルメタアクリレート)年産9万トン設備(当初7万トンでスタート)を完成、試運転に入った。100%子会社・南通麗陽化学が運営する。総投資額は約100億円。

 同センターは英蘭シェルが現地との合弁会社・中海シェル南海石油化学を設立し、エチレン年産80万トン設備を建設。このセンターに参加したもので、本格的な操業は7月になる見込み。ブリヂストンも同センターに年産5万トンの合成ゴム・SBR設備やタイヤ工場を完成させる。

 三菱レは現在、江蘇省の蘇州市でMMAを原料とする高級エステル(自動車の塗料用など)年8,000トン、南通市でPMMAのペレット、寧波市で同シートなど計6万トンを生産しているが、恵州市の工場完成でMMAからの一貫生産体制を確立したことになる。

 恵州工場のMMA原料・イソブチレンはシェルから供給を受ける。三菱レは日本国内にMMA年産21万7,000トン、タイに9万トン設備を持ち、恵州と合わせて39万7,000トン(世界第3位)の能力となる。

 中国には日本勢としてクラレ、旭化成などがMMA加工品の生産を行っているが、モノマーの生産は三菱レが初めてである。三菱レでは「MMAは環境に優しい透明樹脂として、需要が増えている。IT分野や自動車用塗料などがとくに大きい。また恵州は港が大きく原料(メタノールなど)、製品の出し入れに有利」と新工場に期待を寄せている。

 大亜湾経済技術開発区には住友金属、住友電装、三洋電機などが参加。恵州市内のホンダ、トヨタ系自動車部品メーカーなどとあわせて、一大産業集積地へと発展する可能性が高まっている。広州国際空港まで130キロ、恵州空港まで36キロの距離だ。