2001年08月30日
電気化学、発酵法のリウマチ薬で海外展開の意向
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:大正製薬、中外製薬、電気化学工業

 電気化学工業は医薬品事業の強化策の一環として、リウマチなどの関節機能改善剤「スベニール」の積極拡大をはかっているが、9月中に手直し増強が完成するのを機会に米国を中心に海外市場にも進出する意向を示している。

 同社は青海工場(新潟県)に発酵法のヒアルロン酸ナトリウム製剤(商品名・スベニール)の設備を持っているが、能力は明らかにしていない(推定で2.5ミリリットル容器、年産400万トン前後)。

 同設備は昨年夏に完成、中外製薬、仏アベンティス・ファーマと連携して発売、売れ行きが好調だったため設備能力を20~30%アップする手直し工事を進めていた。さらに2003年には資金40億円余を投じて同設備の能力を倍増させることにしている。
 
 電気化学のヒアルロン酸はニワトリのとさかなどからとる在来法にたいし、発酵法で生産するため平均分子量が190万個(在来法は80万個)と高く、生体の300万個に近い。このため使用効果が高く内外の注目を集めている。
 
 米国でのヒアルロン酸市場は医療用具(注射器)が主力である。これは英、独、仏などと同じ。北欧では医薬品として扱われている。わが国では医薬品だが、市場は薬価ベースで約360億円。注射器などの容器にして1,600万本余。トップは在来法の生化学工業でシェア約60%。明治製菓、大正製薬なども生産している。 電気化学では発酵法に対する評価が高くすでに30%近くのシェアを確保しているとみられる。

 こうした中で電気化学が米国など対外市場をめざすのは、生化学がことし1月に米国でFDA(米食品医薬局)から医療用具としての承認をえて、2年後に本格展開をはかる計画が明らかになったため、発酵法ヒアルロン酸の優位性を武器に進出する意向を固めたものとみられる。