2006年04月05日
山口大学・宇部興産「包括的連携協力」の成果発表
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:宇部興産

 国立大学法人山口大学と宇部興産は5日、2004年4月に締結した「包括的連携協力に関する基本合意書(5年間)」の成果を中間報告の形で発表した。研究開発分野では、すでに10件を超える特許を申請するなど、基礎技術を中心に多くの成果が出ているとしている。報告内容は以下の通り。

<研究開発協力>
 「炭酸ガス抑制・削減技術の開発」を中長期的な総合テーマとして取り上げ、山口大学の特徴である化学や環境共生工学の保有技術と、宇部興産の世界的技術である「C1ケミストリー(一酸化炭素利用技術)」や廃棄物リサイクル技術をマッチングさせ、多くの基盤的技術に成果を得た。

 中でも、最近社会で注目されている「グリーンサステイナブルケミストリー(環境にやさしい化学)」については、「ポリアミドのリサイクル技術」や「環境調和型プラスチックの応用技術」分野で有用な新規技術や知見を見出すことができた。

 これらのテーマをはじめ、新規および継続的テーマは「RTプラザ」と称する両者の異分野の専門家による技術交流会で審議・検討しており、包括的連携協力後の共同研究テーマ数は連携前と比べて倍増した。

 結果として、当初の計画どおり10件を超える特許を申請中であり、一部は外国出願を予定している。

<人材育成>
 山口大学が実施している学生・職員を対象として実施している「知的財産インストラクター養成講座」を、宇部興産知的財産部の協力を得て実施し、100 名以上の若い人材の育成を果たした。

 また、文部科学省の「派遣型高度技術人材育成協同プラン」に基づき、大学院生の企業内長期インターンシップを共同研究に関連させて実施し、両者による新しい人材育成・活用に関する協力体制が構築された。

 その他、MOT(技術経営)の観点に立った人材交流や、実際の事業活動に基づいた事例を活用した教材作成など多面的な活動に取り組んだ。

 以上の成果は、「山口大学・宇部興産モデル」とも呼べる実効性のある総合的連携により実現することができた。即ち、古くからの信頼関係や両者が距離的に近いことに加えて、新たに組織間で秘密保持の覚書を結び,通常の連携では踏み込めない情報も互いに開示し、密接なコミュニケーションをとりながら幅広い分野で実行していくという、特徴ある運営体制および運営方法を構築した結果である。

<今後の推進計画>
 地域に根ざす大学、企業として、研究開発協力では、「グリーンサステイナブルケミストリー(環境にやさしい化学)」の技術の種(シーズ)を連鎖的イノベーション(革新的生産技術、複合技術、新商品など)にまでスパイラルアップし実用化への道筋をつけることで、「グリーンサステイナブルシティー(環境にやさしい都市)」作りの具現化を目指す。

 人材育成では、両者のニーズに基づきキャリアーパスと合致できるように教育・交流の場を更に整備し、様々な分野で活躍できる人材を継続的に育成していく。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1144217048.pdf