2006年04月10日
三菱化学、黒崎・中国でPC新増設へ
黒崎の増設に加え、中国では原料から一貫生産
【カテゴリー】:経営(海外、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は10日、同社黒崎事業所内のPC(ポリカーボネート)設備を増強するとともに中国でも原料BPA(ビスフェノールA)からの一貫生産体制を構築すると発表した。

 黒崎では、現在稼動中の2系列合計年産4万トン設備のうち操業開始いらい30年となる界面法の同2万トン設備を停め、最新鋭の溶融法による同6万トン設備を設置する。また、これに合わせて中間原料であるDPC(ジフェニルカーボネート)の同10万トン設備も建設する。今月中に着工、08年3月に完工の予定。
 
 営業運転開始は同年半ばの予定。所要資金は約250億円の見込み。これにより、同工場のPC生産能力は一気に2倍の規模に膨らむ。販売は引き続き三菱エンジニアリングプラスチックスに委ねる。
 
 またDPCは、同事業所内で自消するほか、08年末完成予定で計画中の中国の新規PC設備向け等に利用していく。

 今回、黒崎で大幅増強に踏み切ったのは、主要用途先である自動車や自動車部品の生産拠点が北九州地域に集中しつつあり、中国など東アジア輸出市場にも近く立地的に有利なため。 
 一方中国では、SINOPECと合弁でPCと原料BPAを工業化する計画だ。SINPECと日本側(三菱化学、三菱エンプラ)各50%の共同出資会社を年内に設立し、08年末をめどに北京市・房山地区に年産6万トンのPC設備と同10万トンのBPA設備を建設する。総投資額は約1億9,000万ドル(約220億円)の見込み。合弁会社の資本金は総投資額の30〜40%の範囲内とする。
 
 中国では帝人化成が逝江省・嘉興市に年産5万トンのPC設備を06年末10万トンに倍増する計画を進めているほか、バイエルが上海に10万トン工場を建設中だ。三菱化学は第3のPCメーカーとなるが中国でのPC需要はこのところ年率10%を上回る勢いで伸びているので、早期にフル稼働できると同社では判断している。これらの計画が実現すると、同社グループのPCの総供給能力は年49万トンとなる。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1144646888.doc