2006年04月19日
塩ビ樹脂の05年度出荷、前年度の0.5%増
国内向けの落ち込みを輸出がカバー
【カテゴリー】:実績/統計(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:塩ビ工業・環境協会

 PVC(塩ビ樹脂)の05年度(05年4月〜06年3月)の生産・出荷実績は、生産量が前年度比99.4%の210万6,860トン、出荷量が同100.5%の211万4,275トンとなった。

 出荷は国内向けは同96.4%の139万286トンと不振だったが、輸出が同109.6%の72万3,989トンと好調を維持したためトータルでは前年度を上回った。

 国内向けは、最大消費分野の硬質用が公共投資と住宅着工件数の減少で同95.3%の78万5,439トンと低迷、また、軟質用も同96.3%の36万3,437トンと低調だった。電線その他用は4〜9月期が好調だったため同100.4%の24万1,410トン前年度と同じレベルを維持した。

 一方の輸出は、欧米向け輸出製品を手がけている中国の大手加工ーカー向けを中心にほぼ1年を通して活発だった。

 塩ビ工業・環境協会(VEC)の日野清司副会長(大洋塩ビ社長)は、05年度の実績について「現在のPVC業界の総設備能力は年220万トンなので、平均稼動率は94〜95%となり、かつてない高率操業を実現できたと言える」と総括。今後の見通しについも「公共投資と住宅着工が底を打つのではないか」と、あるていど期待。しかし「ナフサの高騰によって再び収支バランスが圧迫され、まだまだ環境は厳しい」と語った。

 また、中原茂明会長(トクヤマ社長)は、会長職を務めたこの2年を振り返り「最近はようやく建築業界や家電業界など多くの需要家の皆さんに塩ビ樹脂の優れた機能や環境適合性などを理解していただけるようになった。樹脂サッシやサディングなど省エネ製品の普及にも加速がつきはじめた。皆さんの努力に感謝したい」と感想を述べたあと「しかし、そうした成果が実際の出荷を大きく押し上げる段階にはまだいたっていない。今後は広報活動や、樹脂業界と加工業界が一体となってのリサイクルシステム構築などをやっていく必要がある」と語った。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/search.php?RCODE=4619