2006年04月24日
中国国家環境保護総局、石化計画の公害リスクを調査
三井化学のPTA計画にも注文
【カテゴリー】:行政/団体(海外)
【関連企業・団体】:三井化学

(上海発=特約)
 昨年11月の吉林石油化学のアニリン工場爆発による松花江の汚染事故の発生により、中国国家環境保護総局(SEPA)は石化計画の公害リスクに懸念をもち、本年2月以降、河川沿岸、住宅地区、環境保護地区にある127の石化計画の点検を命じた。そのうち20の計画については自らが調査を行い、その他については地方の環境当局に調査を指示した。

 SEPAが調査した20の計画の中には、次の計画が含まれている。

・PetroChinaの成都石油化学の80万トンエチレン計画
  (既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=18257 )
・儀征化繊の江蘇省儀征市での100万トンのPTA計画 
  (既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=17777 )
・BP珠海ケミカルの広東省珠海臨港工業区での90万トンのPTA2期計画
  (既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=16120 )
・三井化学/Sinopecの上海での12万トンのビスフェノールA計画
  (既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=18521 )
・三井化学の江蘇省張家港保税区での60万トンのPTA計画 (未承認)
  (既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=13155 )

 三井化学のPTA計画は2004年3月に製造・販売会社の設立と投資に関する認可申請を行い、現在、最終認可待ち。同社は3月に本計画の環境リスクアセスメント報告をSEPAに提出した。

 SEPAは4月初めにこれら20計画の調査結果を発表し、各社に改善を命令した。その中には、より詳細な環境リスクアセスメントの実施、追加施設の設置、工場サイトの近くに住む住民の移転などが含まれている。

 三井のPTA計画に対しては、SEPAは以下の要求を行った。
1.事故防止策及びケミカル桟橋緊急時対策の改善:
2.環境リスクアセスメント報告の改善
3.環境問題発生時にケミカルパークや地方政府との共同での解決策の明確化
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 これらに対応すれば、同計画の環境上の問題は解決することとなる。

 また三井化学のビスフェノールA計画については、一層の事故防止策や環境問題発生時の対応の明確化などを求めている。具体的には、火災時の消火用の水の回収システム設置や、緊急時に上海ケミカルパーク当局と協力して対応することを求められた。

 なお、地方の環境当局による調査の結果は5月に発表される。