2006年04月24日
三井化学、特殊ポリオレフィンの再増設を検討へ
昨秋増設するも再びフル稼働入り
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、昨年秋に相次いで生産設備を増強した特殊ポリオレフィン2種類の再増設について検討を開始した。

 昨秋に増産体制を整えた特殊ポリオレフィンの一つはメチルペンテンコポリマー「TXP」。10月に岩国の年産7,500トン設備を同1万3,000トン能力に拡大した。しかし、プリント基板用や先端複合材用の離型フィルム向けを中心に需要が一段と活発になってきたためいち早くフル稼働に入っている。携帯電話器やパソコン等の製造工程で圧倒的な人気を得ているためという。
 もう一つは環状オレフィンコポリマー「アペル」。昨年11月に同じく岩国で同2,800トン設備を3,400トン能力に増強した。同樹脂は透明性に特に優れ、しかも波長の短い光にも十分対応できる点が他のポリマーにない大きな強み。このためDVD用のピックアップレンズなど光学製品や医療製品の分野で独自の安定市場を確保、増設後も順調に生産・販売量を伸ばしている。現在はほぼフル稼動中で、このため同社では「TPX」同様に再増設が必要と判断している。
 
 これらのほか同社が手掛けている機能性ポリマーは、いずれも特有の機能と品質を支えに順調にシェアを拡大している。エチレンプロピレンターポリマー「三井EPT」、オレフィン系熱可塑性エラストマー「ミラストマー」、αオレフィンコポリマー「タフマー」、接着性ポリオレフィン「アドマー」、ナノ結晶構造制御型エラストマー「ノティオ」、液状エチレンプロピレンターポリマー「EPT-Lシリーズ」など多彩なポリマーが国の内外で独自の市場を切り開いている。うち「三井EPT」については、今年8月に市原の現有年産4万5,000トン設備を一気に12万トンに拡大する工事に着手する。完工は来年10月となる見込み。また、これに先駆けて今年末には新規機能性オレフィンポリマーの多目的セミコマーシャルプラントを建設、同ポリマーの市場開発のスピードアップと効率の向上を図ることにもしている。同社では、こうした積極拡大策の展開によって可及的速やかに機能性ポリマー部門をコア事業部門に育成・強化していく考え。