2006年05月08日
PETボトルの回収量、17年度は初の前年割れに
自治体の分別収集品の輸出志向が影響か
【カテゴリー】:環境/安全(原料/樹脂/化成品、実績/統計)
【関連企業・団体】:日本容器包装リサイクル協会

 国のリサイクル指定法人である(財)日本容器包装リサイクル協会が平成17年度(平成17年4月〜18年3月)中に全国の市町村から引き取った使用済みPETボトルの総数量は16万9,917トンとなった。前年度の実績を11.4%下回っている。
 前年度の実績を下回ったのは平成9年度に容器包装リサイクル法に沿って使用済みPETボトルの引き取りを開始していらい今回が初めて。平成17年度に入ってからは4月以降の全ての月が前年同月割れとなっている。
 
 同協会では、予め同年度の縮小を予想して年間引き取り予定数量を前年度の92.2%の17万6,843トンに設定していた。実際にはそれをも3.9%下回るかたちとなった。
 
 こうした大幅な縮小現象の発生について同協会やPETボトル業界では、同ボトルを分別収集する市町村の間で収集経費を賄うため同ボトルを中国など海外に売却するところが急増してきたのが最大の要因と分析している。ちなみに、財務省の3月の輸出通関統計によると、使用済みPETボトルの今年3月の総輸出量は2万8,681トン、また1〜3月トータルは6万8,752トンとなっている。同ボトルの輸出が同省の輸出通関統計の対象に取り上げられるようになったのは今年1月からなので前年との比較はできないが、同協会や同ボトル業界によると2〜3年前までの輸出はほとんどゼロであったという。
 
 このように引き取り量がにわかに縮小してきたことに伴い、国内のリサイクル事業者による再商品化(リサイクル)数量も減少している。同年度の総再商品化数量は14万3,032トンで、前年度を3.8%下回っている。この場合もスタート後9年で初の前年度割れである。8月以降が全て前年同月割れとなっている。
 注目されるのは、16年度まで急ピッチで増えてきていたボトル向けが激減している点だ。16年度の実績は前年度の2.01倍の2万3,351トンとなり、再商品化量全体の15.8%を占めるようになっていた。それが17年度は前年度の52%の1万2,134トンに一気に縮小、構成比も8.5%に大きく後退した。
 これには、原料不足によって最大手の帝人ファイバーがボトルtoボトルの大型工場の操業を維持できなくなって事業停止に踏み切ったことが大きく影響していると見られる。同ボトル関係者の多くは、今後も市町村の輸出重点志向が続けば他の分野でも事業を継続していけなくなるリサイクル事業者が相次ぐことになると先行きを警戒している。
 平成17年度の手法別再商品化数量は以下の通り。カッコ内は前年度比。
 ▽繊維(ユニフォーム、カーペット等)   64,103トン(100.9%)
 ▽シート(卵パック、ブリスターパック等) 58,788トン(107.7%)
 ▽ボトル(洗剤等)            12,134トン(52.0%)
 ▽成形品(植木鉢等)           6,217トン(146.7%)
 ▽その他(結束バンド等)         1,789トン(91.0%)