2006年05月16日
トクヤマ、中国の乾式シリカを07年末操業 
年産5,000トン、米キャボットに次ぎ
【カテゴリー】:経営(海外、ファインケミカル)
【関連企業・団体】:トクヤマ

 シリコンゴムやポリエステル、FRPなどの補強材に使われる乾式シリカの需要が中国やアジアで伸びているため、トクヤマは浙江省嘉興市に5,000トン設備を建設しているが、07年秋にも完成、12月末までに営業運転できる見通しになったことを明らかにした。
 
 トクヤマは昨年9月に100%現地法人「徳山化工(浙江)」を設立した。資本金2,200万ドルで、4,000万ドルを投資する計画。トクヤマは日本国内に年産2万トン設備を持ち、すでに中国で乾式シリカを販売(05年9月に徳玖山国際貿易・上海を設立)している。

 乾式シリカは金属シリコンからつくる。シリコンシーラントととして、繊維強化材、くつ、CMP(半導体研磨材)、インクジェット印刷での紙の上塗りなどにも用途が広がっている。

 価格は1キログラム当たり500円ていどで、5,000トン設備をフル操業すれば年25億円の売上が見込める。

 中国ではキャボットが江西省南昌市、ワッカー・ダウコー二ング・グループが江蘇省張家港市でそれぞれシリカの生産を開始、現地企業(年1,000トン)も参入している。また、アジアでも信越化学・東芝GEグループ(独デクサの技術)がタイで、東洋製鉄が韓国で操業するなど、競争が激しくなっている。

 トクヤマは今後の中核事業である攻める分野として電子材料、乾式シリカ、ICケミカル。切り開く分野に湿式シリカ、ファインケミカル、シェイパル(削れるセラミクス)、洗浄システム、資源環境など。守る分野にソーダ、塩カル、クロルアルカリ、塩ビ、NOC、セメントなどをあげている。

 シリカ事業は攻める分野の一つで、とくに湿式シリカは高品位単結晶窒化アルミやフッ化カルシウム単結晶の開発とともに重点が置かれている。