2006年05月16日
三菱化学、塗布型有機半導体を用いたトランジスタで有機EL素子駆動に成功
三菱化学科学技術研究センターが成果あげる
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱化学、三菱化学科学技術研究センター

 三菱化学は16日、グループ会社の三菱化学科学技術研究センター(本社:東京都港区、小林喜光社長=MCRC)で、塗布型の高性能有機半導体材料の開発並びに本材料を用いたトランジスタを使用して有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子の駆動に成功したと発表した。

 ディスプレイの大型化やフレキシブル化に有用な材料として、従来のシリコン等の無機材料に代わり、半導体特性の指標である「移動度」が高く、かつ材料が低コストで作製できる有機半導体材料の開発が待たれている。

 既存材料のうちペンタセン等の低分子材料は、高い移動度を示すものの真空プロセスによる製膜のためコストが高くつき、またポリチオフェン等の高分子材料は、塗布型プロセスでの製膜はできるものの高い移動度の実現が難しいなどの問題があった。

 今回MCRCが開発した有機半導体材料は、結晶性の高い低分子化合物だが塗布型製膜が出来ることから低コストを実現、かつ塗布型製膜としては世界最高レベルの1.4平方センチ/Vsというアモルファスシリコン並みの高移動度を示すもので、
(1)高耐久性
(2)駆動による素子特性の変化が小さい
(3)レーザーパターニングによる加工が可能
などの優れた特長を有している。

 MCRCは、同材料を愛媛大学・小野昇教授との共同研究、また、この材料を使用したEL素子は、九州大学・服部励治助教授との共同研究によって開発した。

 三菱化学グループでは、2015年の有機半導体の市場規模を2,000億円と予想、そのうちの年100億円規模のマーケットを今回開発の塗布型の高性能有機半導体材料でカバーしていきたい考えだ。

 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1147760303.doc